good day ＊season2

歯痒い 日高side ページ49

「１年ってはやいねぇ……」

「葵郁、」

「なに？みっくん」



今日はクリスマス。世間ではそれと、そのすぐ先の年末年始モードでいっぱい。そんな俺たちは今日も仕事。その先もびっしりと個人、グループ共にスケジュールは入ってる。まぁ、何ていうか、忙しいってありがたいけどな。



「ババくせぇぞ。そういう事言ってっと」

「は！？ちょっとなにそれ！」



リハの合間。ホットコーヒーを啜りながらも、いつも通り莫迦な会話。確かに、１年って早いけどな。去年の今頃は車走らせて遊びに行ってたっけ。なんて。



「なぁ」

「？…どうしたの？今日なんか上の空じゃない？」



そう言われてあながち否定はできないけど。悶々とし過ぎてこれは誰かに零してみるしかねぇ。って思った。けど宇野や千晃に言ったら散々からかわれるのは目に見えてる。そうなれば、妹のような存在の葵郁しかいねぇ。たぶんすげぇ食いついてくるけど。



「なぁ、女の子って何貰ったら嬉しい？」

「え？」

「遅めのクリスマスプレゼント、あげようと思ってるんだけど」



やっぱりすげぇ食いついてきた。え！え！好きな人いるの！？って、騒いでて。ちょっと、ほんと静かにしてくれ(笑)



「…一般の子？業界の子？」

「業界」

「えー、私知ってるかな」



うん、たぶん知ってる。ってそんなのは置いといて、だ。



「うーん。情報が少なすぎるから何とも言えないけど。貰って嬉しくないなんてこと、ないと思うけどなぁ」

「そういうもの？」

「余程変なものじゃなければね。みっくんがその子のこと想って選んだものなら、なんだって嬉しいと思うけどな」



ああ、やっぱりコイツに言って正解だった。別に答えが欲しかったんじゃない。ただ背中を押して欲しかっただけ。



「でも、興味ないって言ってたみっくんに好きな人か〜気になるなぁ…(笑)」

「うるせ」



ちょっとからかってくる葵郁の頭をベシりと叩いて。



「……で、葵郁はどーなの最近」

「え、どう…って、なにが…」

「…………西島」



え！？って狼狽えてる葵郁が面白くって笑えてくる。たぶん、気づいてないのは本人たちだけなんだから。



「いい加減素直になんねぇと誰かに取られっぞ。アイツあんなでもモテるんだから」

「べ、べつにそんなんじゃないもん……」



そう言いながらも葵郁の顔は真っ赤で。はぁ。この２人、こういうのは奥手なんだなって。傍観してるこっちが歯痒いわ。

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