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「あのぉ……、失礼なんですけど、問さんですか? 言さんですか?」

 沙耶が首を傾げる。彼はあーえっと、とちょっと考えて、自分の頬骨の辺りを指さした。

「ここ。ここにほくろあるんですよ。僕が問です」

 あとは僕がセンター分けのことが多いかなぁ、と伸びた口調で彼は言う。問ちゃーん、と、奥でパソコンをいじっていた彼の片割れが声を上げた。

「これ……問題データこれで合ってる?」
「あー今行くー」

 軽く返事をして彼の方に向かいながら、センター分けの男──東問は口を開いた。

「Aさん、問題共有したいんだけどパソコンって今あります?」
『ああ……ちょっと待って』

 敬語なのか砕けているのか曖昧な口調で言われ、奥に置いていた鞄を探る。薄手のノートパソコンを取り出して、少し駆け足で彼の元に戻った。

「今送りますね。……はいオッケー」
『ありがとう、東くん』

 何も考えずに苗字を口にする。……と、彼らはちょっと変な顔をした。

「……苗字で呼ばれるの久しぶりかも」
「だね。……Aさん、僕ら苗字一緒でどっち呼んだかわかんなくなるんで、名前で呼んでもらってもいいですか」

 よく見れば、弟の方にはほくろはない。兄より少しだけぱっちりした目と目立つえくぼ。量の多い髪はふわふわしている。

『そっか。……じゃあ問、言、ありがとう』

 問の方はちょっとだけ髪の毛がまっすぐだ。人の良さそうな笑みは好青年っぽくて、聡明な印象を受ける。身長まで同じくらいなふたりを、私は改めて見比べた。

『……うん、ちょっと違いわかった、かも』
「ほんと⁉︎」

 問が嬉しそうな顔をする。きゅっと細くなった瞳が愛らしい。隣で言も同じように笑っている。

『うん。……じゃあ、準備しよっか』

 もうそろそろみんな来ると思うし、と言った声の後、がちゃ、と扉が開く。今度は本当に、早稲田の学生のようだ。

「A、私追加の早押しボタン取ってくる」
『オッケー、ありがと』

 今日の問読みは沙耶だ。彼女のパソコンにデータを送信して、私ははあ、と息をついた。

 まさか、こんなところで再会するなんて。──しかもこんなにすぐに。
 笑い合うふたりを見ながら、私は視線を逸らしてパソコンに目を落とした。

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鳩麦こおり(プロフ) - 葉華さん» わわ、ほんとですか...! 嬉しすぎるお言葉...! ありがとうございます🥰🥰 (1月23日 17時) (レス) id: e6ac31a148 (このIDを非表示/違反報告)
葉華(プロフ) - 面白くて、続きを読む手が止まりませんでした…!素敵な作品をありがとうございます! (1月19日 4時) (レス) id: 799c11267c (このIDを非表示/違反報告)
鳩麦こおり(プロフ) - ジルさん» ありがとうございます〜! ゆるゆる更新ですが完結させられるように頑張りたいと思います💪 (12月31日 22時) (レス) id: e6ac31a148 (このIDを非表示/違反報告)
ジル - 更新頑張ってください! (12月31日 21時) (レス) @page5 id: 01b486c023 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鳩麦こおり | 作成日時:2023年12月30日 23時

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