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「──もしかしてその前髪も俺リスペクト?」

 不意に聞かれて、咄嗟にはいっ、と答える。それから、え、と驚きが口から零れた。

『……初めてです。誰かに気づいてもらえたの』

 びっくりしながら言うと、ええほんと、と笑いながら驚かれる。本人に気づいてもらえるなんて、と私は丸くなった目を元に戻せずに俯いた。
 前髪を弄ったのは大学に入った頃くらいだ。形から入る、じゃないけど、何か変わるかも、くらいの軽い気持ちで私は前髪の分け目を変えた。もしかしたらabcであそこまでいけたのもそのおかげかな、とか今更思い始める。伊沢さんはまたくしゃりと目を細めて笑って、それから立ち上がった。

「じゃあ、そろそろ終わろうか。ありがとうございました」
『……っ、ありがとうございました』
「じゃあ問、Aさん送ってあげて」

 伊沢さんが言うと、かたわらにすわっていた問がはぁい、とゆるい返事をした。口を閉じると口角は下がって……あれ。怒ってる?

「Aさん」

 伊沢さんが私に少しだけ寄って、息を多分に含んだ声で囁いた。

「問のことも構ってやってね。あいつ、なんか拗ねてるみたいだから」
『え……なんで』

 なんで拗ねてんの。浮かんだ疑問は伊沢さんの笑顔に押し込まれた。彼はにこりと笑って部屋を後にする。少し広く感じる白い壁の中に、私たちはふたりきりで取り残された。

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鳩麦こおり(プロフ) - 葉華さん» わわ、ほんとですか...! 嬉しすぎるお言葉...! ありがとうございます🥰🥰 (1月23日 17時) (レス) id: e6ac31a148 (このIDを非表示/違反報告)
葉華(プロフ) - 面白くて、続きを読む手が止まりませんでした…!素敵な作品をありがとうございます! (1月19日 4時) (レス) id: 799c11267c (このIDを非表示/違反報告)
鳩麦こおり(プロフ) - ジルさん» ありがとうございます〜! ゆるゆる更新ですが完結させられるように頑張りたいと思います💪 (12月31日 22時) (レス) id: e6ac31a148 (このIDを非表示/違反報告)
ジル - 更新頑張ってください! (12月31日 21時) (レス) @page5 id: 01b486c023 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鳩麦こおり | 作成日時:2023年12月30日 23時

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