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story5 ページ6

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今日もまた、仕事が早く終わった。


最近忙しかったから、きっと上司の気遣いだろう。


あの日から1週間が経った今、あの時よりも彼の事を考えるようになった。


声を聞かないと分からないから、駅でそれらしい人を見かけても、話しかけれない。


大きくなったモヤモヤを今日も抱えて、会社を退勤した。


会社から駅は、徒歩5分程度で、とても近い。


そして、ホームに入るとすぐ見える、ストリートピアノ。


きっと、彼が通りかかってくれる事を信じて。


白と黒の鍵盤の上に、手を置いた。


彼が気付いてくれるように、またボカロの曲を弾いた。


演奏終了後、辺りを見渡した。


けど、顔なんて知らないから、分からなくて。


彼からあの素敵な声で話しかけてくれるまで、待たなきゃいけない。


そしたら、黒い帽子だけを被った男の人が歩いてきた。


「あの…僕のこと、覚えてますかね?」


予想通りだった。


私が恋した、その声が聞こえた。


「はい。勿論です。」


マスクが邪魔をしていないから、顔がしっかり見えた。


かっこいいかどうかは、人によって意見が変わるかもしれない。


けれど私は、かっこいいと思った。


少し垂れ目で、どこかふわふわしてて。


かっこいいだけじゃなくて、かわいいと思わせることもある顔。


今までに無いくらいの高揚感に満ちて、会話をするのも大変だった。


「また、お上手でした。そして、あの…」


「もう一度会えたのも、何かの縁じゃないのかと、思いまして…」


「嫌じゃなければで良いのですが、その…お友達とか…」


恥ずかしそうに俯いていて、声も心なしか震えていた。


何処か教師らしい考え方をしてしまう私は、勇気を出してくれた事が嬉しかった。


無論、返事は言うまでもない。


「是非!お友達になりましょう!」


駅に響くか響かないかのギリギリの声で、彼にそう伝えた。


一見恥ずかしくないように見える私だけど、実際は死ぬ程恥ずかしい。


けど、そんなの彼と比べたら全然な筈。


彼も嬉しそうに笑ってくれたのが、とても頭に残った。


「あっ、LINE、交換しませんか?」


「はい、良いですよ。」


慌てて思い出したように聞いてきた。


僅か1週間でここまでの進展。


会えない分だけ、愛は育まれる。


相手は私の事なんて、微塵も気にしてないと思うけど、


こっちは脳も心臓も破裂しそうな位に、ドキドキしていた。


恋は盲目…


全く持ってその通りだと、身を持って実感した。

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So-mei.(プロフ) - Daaaさん» 返信遅れてすいません!私も…書きながらたなっちとの子ども欲しいなぁと思いました(( ありがとうございますー!褒められて伸びるタイプなので嬉しいです笑 また御縁がありましたらよろしくお願い致します! (2020年8月29日 18時) (レス) id: f49ce891b4 (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - 遅くなりましたがご完結おめでとうございました!!最後たなっちくんとのお子さん...想像....妄想するだけでドキがムネムネ...(こら)短編と違って長編は本当に難しいですよね、その中で素敵な作品を作り上げたSo-mei.さん、とても素敵です。お疲れ様でした(^^) (2020年8月26日 6時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
So-mei. - Daaaさん» えっ、寧ろこんなのを勉強して大丈夫ですか?こちらこそ勉強させて頂いてます((素敵な表現、もしかしたらお借りするかもしれませんが…その様なことが無い様に気を付けます!こちらこそよろしくお願い致します^^ (2020年7月6日 20時) (レス) id: 5021305aba (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - So-mei.さん» とても読みやすくて私も凄く勉強になりました...(勝手に勉強させて頂いて申し訳ない...)こちらこそ本当に感謝しかございません、今後とも宜しくお願い致します(^^) (2020年7月5日 19時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
So-mei. - Daaaさん» ええええ!?あっ、ちょっと待って下さいね?心の準備が…。え、え?ヤバ…。あの、こちらこそ、ありがとうございます。なんか、こんな妄想に塗れた汚い作品読んでもらってありがとうございます…。ブラマジも見てくださってるんですね…!本当感謝。なんかすいません… (2020年7月5日 14時) (レス) id: 5021305aba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:So-mei. | 作成日時:2020年6月26日 18時

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