聴けなくなる、その日まで。

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「帰るんですか？」


「うん。俺の仕事も終わったし、大阪の観光もしたし！」


「Aにも会えたし、それに静岡に帰ってやる事があるから。」


そっか。と、少しAは残念そうにしている。


本当はそんな顔させたくないし、ずっと大阪に居たいくらい。


だけど、戻らないと。


''やりたい事があるから。''


そう言って、俺らは大阪を後にした。


見送ってくれたAに手を振って、新幹線に乗って静岡へと帰った。


「たなっち、本気？」


「今度は俺らもサポートし難いで。」


やりたい事。それは、


Aにプロポーズする事。


「もうちょっと位時間置いた方が良いと思うけど？」


「ですよね…もう少しだけ考えてみたらどうですか？考え直せとは言いませんが…」


メンバーから反対を受けた。


まだ付き合って日も浅いし、視聴者さんに恋人が居ると公表してから時間が全然経っていない、と。


俺だって、今すぐにでもプロポーズしたい訳じゃない。


Aが静岡に戻ってからも、少し時間を置くつもり。


「けど、早い方が俺は良いんです。」


ちょっとしたAへの独占欲。


その欲は、大きな恐怖として現れる。


もしかしたら、大阪に居る間に誰かに取られてしまうんじゃないかと。


「たなっち。焦っちゃダメ。落ち着いて考えたら良いから。」


「第一、Aちゃんが他の男に興味持つわけないじゃん？そんな子じゃないし。」


「あの子だって多分、たなっちと同じこと考えてると思うよ。」


「それって、どういう事ですか。」


「たなっちが誰かに取られてしまわないかなって、思ってるんじゃない？って事。」


「Aちゃんとたなっちは、考え方が凄く似てるから。」


はじめさんは面白そうに笑って、頑張ってと肩を叩いて行った。


何も面白くないのに…

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