#35 安心した眠りを ページ35
夜になった。
もうすぐ日が変わる時間、リュウジがやっと数学の課題を終わらせた。かなりの量が出たみたいでしかも難しい。僕も彼の宿題を手伝ってあげながらなんとか片付けることができたのだ。
「あー眠い。ヒロトはもう寝る？ 電気消すよ」
「ごめん。今日はずっと電気つけたままでもいい？」
「えぇ、まじで」
僕はリュウジが部屋の電気を消そうとするのを止めた。彼もまた顔をしかめている。僕はなんて説明すればいいのかわからない。どうせ信じてもらえないだろうなとも思っていたからだ。すると僕の表情から何かを察したのかリュウジが電気は消さずにそのままベッドに入った。
「いいの？」
「だって嫌なんでしょ？」
それ以上何も聞いてこないのに驚いた。リュウジってこんなやつだったっけと思うくらいに。申し訳なさとありがたさに僕は彼にお礼を言って寝ころんだ。だけどこのまま眠ることもできない。ゆっくり目を閉じる事にも恐怖を覚える。こんなのいつまでも続けていられないなと悲しくなる。落ちつかないので適当に本を手にとって読むことにした。
「あれ、寝ないんかい」
「あー……ちょっと眠れなくなって」
「ふーん」
するとリュウジはベッドから出てマンガ本を床に山積みにして読み始めた。僕もなんとなくベッドから出てリュウジと同じように床に座り込んで本を読み始めた。僕の夜ふかしに付き合ってくれているみたいだった。だけど正直僕は眠たくて仕方なかった。何度も頭が下がる。寝てしまわないように目を開くが文字がぼやける。
「ヒロト、大丈夫？ 寝たら？」
「……眠れないんだ。寝ちゃ、ダメなんだ」
僕は頭を横に振って眠気を飛ばそうとする。だけど意識すればするほど睡魔が襲う。だんだん苛々してきて、泣きそうになってきた。
「ねぇ何があったんだよ」
リュウジがそう言って僕の肩を掴んで揺らした。信じられなくてもいいや、と僕は投げやりになって彼に事情を話した。自分でもちゃんと言葉になっているのかわからなかったけれど。
だけどリュウジはずっと話を聞いてくれた。
しばらくして僕はいよいよ意識が無くなってきた。リュウジがそんな僕をベッドまで手を貸してくれた。僕はダメなのに、と思いながらも布団の誘惑に負けそうになる。
「ごめんリュウジ」
「いいよ。悪いものを見ても大丈夫なように、俺がお前が寝るまで起きててあげるから」
僕はその言葉にとても安心して目を閉じた。リュウジが「おやすみ」と言ったのが何となく聞こえた。
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沙夜（改）(プロフ) - 葉兎野鳥さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！まさにその通りだと思います…終わらないでしょうね〜ヒロトが完全に連鎖を断ち切ったわけではないので…あくまでこの場での収束かなと。また機会があれば読んで頂けると幸いです。 (2018年10月8日 20時) (
レス) id: 2f6e543b6c (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - またこういう作品を作ってほしいです。素敵な作品をありがとうございました。 (2018年9月27日 1時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - とても考えさせられる作品でした。完全なハッピーエンドで終わらないのも、その先を見たいのに見れないっていう虚しさを残らせました。ひとりかくれんぼは終わらない、そんな気がしてなりません。また他の誰かが同じことを繰り返してしまうかもしれませんね。 (2018年9月27日 1時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜（改）(プロフ) - 枢さん、ご閲覧ありがとうござます！読んで貰えてこちらこそ嬉しいです…ありがとうございます！これからものんびりやっていきます、よろしくお願いします〜！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: 2f6e543b6c (このIDを非表示/違反報告)
枢 - 長いことこちらのサイトからは離れていたのですが、偶然立ち寄った際にこうして再び沙夜さんの作品を拝見できて嬉しく思います。今後も御自分のお好きなものをお好きなように創作して下さると幸いです。これからも応援しております。長文失礼致しました。 (2018年5月4日 0時) (レス) id: 714c8b0c42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙夜 | 作成日時：2018年2月11日 18時
