#4 噂話 ページ4
僕がAくんと話ができたのは朝のその時間だけだった。あとは常に彼の周りに人が集まり、転入早々良いスタートを迎えられたようで何よりだった。
昼休みになると、転入生が入ったと聞きつけた他クラスの生徒が何人も入って騒いでしまい先生から怒鳴られるという事態もあった。
どちらにせよAくんは良いやつみたいだ。前の学校でもきっとあんな風に人気者だったに違いない。
今日最後の授業は体育だった。
僕の学校の体育の授業は男女に分かれ、二つのクラスが合同になって行われる。
この時間は隣のクラスの風介と一緒になった。
「ヒロト。転入生ってどれ？」
「あぁ、あっちにいる彼だよ。すっかり人気者さ」
「へぇ。確かにモテそうな感じがする」
「あはは。でしょう」
二人一組になって行う準備体操の時に、風介とすっかり話し込んでいた。
「そうそう。Aくんってお日さま園の近所に引っ越して来たらしいよ。これから登下校の時に一緒になるかもね」
「ふーん。でも私たちはちびっ子を送るのに遠回りするから会うことは少ないんじゃない」
「あっ、そっか。じゃあ朝は無理か」
「……仲良くなりたそうな感じだね」
「僕はね、誰とでも仲良くしたいんだよ」
風介は呆れたように笑った。
＊＊＊
帰りのホームルームの時間。
今日もあっという間に一日が終わってしまった。転入生も来たし、このクラスにとってとても濃い一日になったであろう。
「大事なプリントを配るから回せー」
先生が「大事な」のセリフを特に強く言ってプリントを配り始めた。回ってきたプリントを見ると集団登下校に関するお知らせだった。
「連日、子どもの行方不明事件が多くなっているのはみんなもニュースで知っていると思う。そこで今日から一週間集団登下校を実施することになった。朝は学区ごとに決まった場所に集まって登校し、帰りもグラウンドに学区で集まって下校する。部活生は朝練もあるだろうから、学区のリーダーに必ず連絡して出来れば二人以上で登校すること。これは近所の小学校でも合同で実施されるからよろしくな」
集団登下校、と聞いてクラスがざわめいた。安全面の考慮とは言え、一度集まってから行動というのが何とも面倒なことであった。学区のリーダーというのは毎年中学三年生が受け持っている。リーダーになると集団登下校の際、点呼や連絡係を受け持つ。僕たちの学年はまだ楽なほうだろう。
「この後は全員グラウンドに集合するように」
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沙夜（改）(プロフ) - 葉兎野鳥さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！まさにその通りだと思います…終わらないでしょうね〜ヒロトが完全に連鎖を断ち切ったわけではないので…あくまでこの場での収束かなと。また機会があれば読んで頂けると幸いです。 (2018年10月8日 20時) (
レス) id: 2f6e543b6c (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - またこういう作品を作ってほしいです。素敵な作品をありがとうございました。 (2018年9月27日 1時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - とても考えさせられる作品でした。完全なハッピーエンドで終わらないのも、その先を見たいのに見れないっていう虚しさを残らせました。ひとりかくれんぼは終わらない、そんな気がしてなりません。また他の誰かが同じことを繰り返してしまうかもしれませんね。 (2018年9月27日 1時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜（改）(プロフ) - 枢さん、ご閲覧ありがとうござます！読んで貰えてこちらこそ嬉しいです…ありがとうございます！これからものんびりやっていきます、よろしくお願いします〜！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: 2f6e543b6c (このIDを非表示/違反報告)
枢 - 長いことこちらのサイトからは離れていたのですが、偶然立ち寄った際にこうして再び沙夜さんの作品を拝見できて嬉しく思います。今後も御自分のお好きなものをお好きなように創作して下さると幸いです。これからも応援しております。長文失礼致しました。 (2018年5月4日 0時) (レス) id: 714c8b0c42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙夜 | 作成日時：2018年2月11日 18時
