#25 クラスの変化 ページ25
行きたい。僕も、遊園地に行きたい。ずっと昔ここに来る前に誰かと遊園地に行った。誰だったっけな。あぁ、昔の家族とだ。楽しかった？ あの時の僕は楽しめたかい？
「うん！」
僕は笑顔で答えた。女の子がにっこり笑ったかと思うと次の瞬間頭に激痛が走った。何かに殴られたかのような痛みだった。それで僕は一瞬で我に返った。気が付くと僕は冷たい廊下に倒れていたのだ。視界には何人もの足元が映った。僕の顔を覗き込む玲名の顔がすぐ目の前に現れた。
「お前何してんだこんな寒いのに」
「あれ……なんで僕……」
「寝ぼけてたんじゃない？」
玲名が僕の腕を引っ張って体を起こした。他の子たちが「ヒロト寝ぼけて廊下で寝てやんの〜」とからかってきた。頭が痛いので手で撫でる。玲名が「すまんな」と無表情で謝った。殴って起こしたのは彼女らしい。
それにしてもいつの間に僕は倒れていたのだろう。全然記憶がなかった。それに辺りを見渡しても女の子の姿は無かった。頭痛は治っていた。それよりも殴られた痛みのほうが勝っていたからだ。
＊＊＊
集団通学の時間だ。通学路にはかなりの雪が積もっており、みんなそこら辺の雪を拾い上げてはお互いに投げ合ったりして遊んでいた。時間になると全員集まり、三年生が適当に点呼してみんな歩き始めた。
Aくんはというと変わりはなさそうだった。僕はなんとなく話しかけることができなかった。彼は他の子と話しながら、時々雪を投げつけ合ってはしゃいでいた。昨日は何事もなかったかのような態度だった。
学校に着くと今日は雪が積もっているしあまりの寒さのためか各クラスにはストーブが置かれていた。みんな冷えた手を温めようとその周りに集まっている。そしてみんなは行方不明者の話題で持ちきりだった。
「聞いた？ この後一限潰して学年集会だってよ」
「体育館寒いからやだなぁ」
「いいじゃん授業ないし」
「誰がいなくなったんだっけ？」
僕はその輪の中にさりげなく入り会話に混じった。
「僕たちのクラスからも誰かいなくなったの？」
「ヒロト、聞いてないの？ 山崎のやつがいなくなったんだよ。あと青木の家に連絡つかないとか、水上も……」
話を聞く限り、僕のクラスからは三人がいなくなったらしい。男子が一人と女子が二人。昨日は特に変わりなかったはずだ。僕はちらりとAくんの席を見た。彼の隣……山崎くんの席だ。Aくんは窓の外を眺めていた。
しばらくして学年集会の時間になった。
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沙夜（改）(プロフ) - 葉兎野鳥さん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！まさにその通りだと思います…終わらないでしょうね〜ヒロトが完全に連鎖を断ち切ったわけではないので…あくまでこの場での収束かなと。また機会があれば読んで頂けると幸いです。 (2018年10月8日 20時) (
レス) id: 2f6e543b6c (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - またこういう作品を作ってほしいです。素敵な作品をありがとうございました。 (2018年9月27日 1時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
葉兎野鳥(プロフ) - とても考えさせられる作品でした。完全なハッピーエンドで終わらないのも、その先を見たいのに見れないっていう虚しさを残らせました。ひとりかくれんぼは終わらない、そんな気がしてなりません。また他の誰かが同じことを繰り返してしまうかもしれませんね。 (2018年9月27日 1時) (レス) id: fad212b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜（改）(プロフ) - 枢さん、ご閲覧ありがとうござます！読んで貰えてこちらこそ嬉しいです…ありがとうございます！これからものんびりやっていきます、よろしくお願いします〜！ (2018年5月4日 21時) (レス) id: 2f6e543b6c (このIDを非表示/違反報告)
枢 - 長いことこちらのサイトからは離れていたのですが、偶然立ち寄った際にこうして再び沙夜さんの作品を拝見できて嬉しく思います。今後も御自分のお好きなものをお好きなように創作して下さると幸いです。これからも応援しております。長文失礼致しました。 (2018年5月4日 0時) (レス) id: 714c8b0c42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙夜 | 作成日時：2018年2月11日 18時
