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はじめ side
みんなでローテーションでお見舞いに行くことになった。今日はおいら。
手術をしてからずっと目が覚めていないAちゃん。
もちろん今の自分の声も、おいらの蓋をしてあった気持ちも、何もかも届かない。
「Aちゃんが好きだよ」
Aちゃん、早く起きてよ。これじゃあずっと気持ちを伝えられないままじゃん。
おいらの気持ちに気づいてよ、Aちゃん。
だいちぃ side
今日は俺がAちゃんのお見舞いに行く日。
目を覚ます気がないAちゃん。
最初に見た時は絶望してるような暗い子だったのに、今では俺らに心を開いてくれる笑顔がかわいい、俺の好きな子。
「Aちゃん、俺の事眼中にない?」
そんな声は風によってかき消されていく。
Aちゃんがいないと何も楽しくないんだよ。
起きてよ。また俺に笑ってよ。
たなっち side
Aちゃんが起きずに2日が経って、今日は自分がお見舞いに行く番。
食べ物を持っていくと美味しそうに食べてくれる、そんなAちゃん。可愛いなって思ってただけなはずだったのにな。気づいたらAちゃんの事しか見てなかったみたい。
「苗字、棚澤にする気ないかな、、」
起きそうにもないAちゃんの手はまだ温かかった。
やふへゐ先生 side
なかなか目を覚まさないAちゃん。
最初にお見舞いに行った時に2人でりんごを食べた思い出が蘇る。
あの時から、俺はAちゃんしか見てなかったんだろうな。
楽しい時も、辛い時も、嬉しい時も。Aちゃんと共有したい、そう思うようになった。
「Aちゃん、俺本気になっちゃったよ。」
そんな声も届かない。早く起きないとキスするよ、なんて声も届くわけない。
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作者名:まるこ。 x他1人 | 作成日時:2020年5月5日 18時