Chapter２９ ページ29
.
何がどうしてこうなったのか、もう覚えていない。
とにかく今俺は、紛れもなく、彼女のお家にお邪魔していて。ホワイトの素敵なテーブルと椅子に座って、彼女はサラダを、俺はナポリタンを食べている。
白に統一された部屋は、シンプルだけど所々にある可愛い小物なんかで女性らしさが出ていて。カーテンはかすみ草のような花の絵柄で、とても可愛いな、何て思った。
部屋に入った瞬間、男だったら誰でも惑われそうな、そんな、香りがした。
....ようへいくんは、もう此処に、来た事があるんだろうか。
そう考えている自分が訳分からんけど、でも、そう思うと、何だかめちゃくちゃ悔しい、なんて思う。
目の前に座る彼女は、さっきから俺が買ったプリンを見ていた。
「あ、その顔、さてはプリンを狙っておるな？」
『えっ？！そんな、そんな事は！』
「あはは、いいよいいよ。Aちゃん甘い物、好きだもんね。後であげるね」
この前もカフェで、彼女は美味しそうにケーキを食べていたのを思い出す。思い出したら、笑みが溢れた。だって、可愛いかったもん、な。
.....変態なの俺？
ナポリタンを食べながら、黙りこくった彼女を見る。
「....ん、どったの？」
『あ....いえ....、プリン、いいんですか？』
「うん、当たり前。Aちゃんだから、あげたい」
つい、そう、言ってて。
でも、その気持ちは、本当だ。
彼女はまた、黙りこくった。
でも、何処か、照れたように。嬉しそうに。
『ありがとうございます、はじめさん』
あぁ、また、その笑顔。
綺麗な、素敵な、笑顔。
ずっと何処かで、セーブをしていた。
やっぱり、大切なのは。
おいらにとって、大切なのは、��仲間��だ。
今まで色んな事があった。色んな恋愛をしてきた。その所為で、多くの方々に迷惑だって掛けてきた。
だから、分かってる。これが、迷惑に繋がる事も。誰かを、傷付けるんじゃないかって、事も。
でも、その笑顔に。
俺は多分、その笑顔に出会った時から、きっとずっと、Aちゃんが、好きだったんだろう。
「Aちゃん、また、ご飯食べよう」
閉じ込めて。
そうすれば、誰も傷付かない。
でも、少しだけ。
少しだけ、欲を出しても、いいでしょうか。
彼女はまた目尻を下げて、『はい』と、笑った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Daaa(プロフ) - 美聖留(ミシェル)さん» 無事に完結することが出来ました、最後までお付き合い下さりありがとうございました！次作も...何か...書けたらいいなぁ....((( (2020年6月28日 11時) (
レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
美聖留(ミシェル) - 面白かったです！！完結おめでとうございます！！次の作品も楽しみにしてます！！ (2020年6月28日 10時) (レス) id: 6e06f0e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - So-mei.さん» コメントありがとうございます！！わあああ...嬉しい...読むに読めない作品であったかと思いますが、最後までありがとうございました！次作も書けるように頑張ります！ (2020年6月27日 19時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
So-mei. - 初コメ失礼します…最初から読ませて頂いてて、本当一言一句の言葉遣いが素敵で、心に残りました！またDaaaさんが作品を作ることになったら是非読みたいです！最後に、素敵な作品ありがとうございました！応援しています！ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 5021305aba (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - youtubeさん» わああ、そんな嬉しいご感想...本当にありがとうございます！リアルにきっとようへいくんなら背中押すんだろうなぁ...と(泣)何とか完結できて良かったです！ありがとうございました！ (2020年6月26日 21時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Daaa | 作成日時：2020年6月12日 15時
