Chapter22 ページ22
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「...Aが、不倫」
「はい、」
はじめさんは、特に驚く事は無く、俺が言った言葉をゆっくり繰り返す。そして、今までの事を全て話す。
誰にも言っちゃダメだったのに、なぁ。てか、そもそも言うつもりなんてなかった。...あいつから初めてその事を聞いた時も、あいつもそう言ってた、な。
でも、どうしても。
もう、一人で抱え込むのが、しんどくなってた。
誰かに話す事によって少しは軽くなるんじゃないかって。それも、相手がはじめさんなら、尚更。今までのAを知っていてくれるはじめさんだから、こそ。
暫く沈黙が続いだけど、それを直ぐ破ったのははじめさんで。
「あの子、強そうに見えるけど、全然強くないじゃん。あの子もずっと色々抱えてたんだよね。その中でたなっちに話してくれたって事は、やっぱりたなっちはAにとって特別なんだよ」
特別。
俺は、お前にとって、そんな存在で在れたのだろうか。
「覚悟って、言ったんでしょ。なんだかおいらには、それは別の覚悟も含まれてる気がするんだけど」
「...別の、?」
「うん。たなっちも、特別だから。だから、たなっちからも、卒業、とかね」
俺から、卒業?
なん、で?
「例えばの話だけどね!おいらの想像ならぬ妄想だから気にしないで!でも、まぁ。このままでいいの、たなっちは」
そん、なの。
そんなの、さぁ。
「...会いにいきたい。俺、別に2番手もいいから、それでも、会いにいきたい」
最初から答えなんて出てた。
でも、それを超えるのに俺も少し覚悟が必要だった。
「たなっちにとって後悔のない選択をね」
後悔のない選択。
きっとこのまま何もしない事が、後悔だ。
「はじめさん、ありがとう」
「おいらなーんにもしてないよ。...たなっち、頑張れ!」
−−−
ーー
それから1週間が経った。
直ぐ、連絡を入れたかったけど、やっぱり勇気が出なくて、ラインを開いては閉じてを繰り返していた。かっこ悪い、はじめさんにあんな事言っておきながら。
会いたい、Aに会いたい。
でも、あいつは俺に、会ってくれるのだろうか。
とにかく少し頭を冷やしたい。一旦冷静になって、きちんと考えて、そしてAに連絡しよう。
そう思い、いつものあの喫茶店に行く事にした。
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Daaa(プロフ) - So-mei.さん» いつもいつも本当にこちらこそありがとうございます!今作こそとんでもなく意味不明感が出ていたかと思われます...次作があればもっとまともな文章書けるよう頑張ります...! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
So-mei. - お疲れ様でした…!今回もとても感動しましたし、感情移入してしまいました笑 やっぱり素敵な言葉選びというか、センスが光ってますよね…尊敬します…。素敵な作品ありがとうございました! (2020年8月18日 12時) (レス) id: 5021305aba (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - ねおんさん» こちらこそありがとうございます!な、泣かせる力....そんな素晴らしい力があるかは分かりませぬが、何とか挫折せず書き終えれました...ありがとうございました! (2020年8月18日 6時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
ねおん - また来てしもた、、。お疲れさまです、!人を泣かせる力があると知った日、、() (2020年8月17日 23時) (レス) id: 3019da5da0 (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - ねおんさん» おはようございます!コメントありがとうございます!私もたなっちくん何でこんな奴のこと好きなんだよ(真顔)って感じで....何度も挫折しそうですが何とか最後まで...頑張ります! (2020年8月12日 6時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Daaa | 作成日時:2020年8月1日 9時