Chapter４４ ページ44
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「えっ、いいんですか？！」
「はい、特別に。主治医と院長の許可も頂いています。今日は星がとても綺麗に見えるみたいだし....Aちゃんも、楽しんで来てね」
『ありがとうございます師長さん！！』
梅雨の中休み。雨はここ数日すっかり姿を見せていない。少しジメジメした空気はあるけれど、雨の日より格段と過ごしやすい。
そんな、今日。免疫力がかなり低下していたAは、少しの移動も疲労感が尋常では無く、春くらいから全く外には出ていなかった。
でも、今日は朝から調子が良さそうで、主治医の先生が彼女と少し話をして、数十分くらいであれば外に出ても良い、と言われたみたいで。
時刻は19時。面会は20時まで。屋上は既に今日は閉鎖されている。しかし、病棟師長さんが手を回して下さって、特別に今日だけは屋上を20時まで開放して頂いた。
Aに負担を掛けないように車椅子に移乗する。介助の仕方はしっかり勉強した。看護師さんにも聞いたりして。少しでも苦しい思いをさせたくない。それに、筋トレを始めて良かった。もやしのままだったら、Aもきっと不安だったと思う。
「しんどかったら直ぐ言ってね、」
『うん、ありがとう。久しぶりの外！楽しみだな〜』
ーーー
ーー
エレベーターに乗りゆっくり屋上に向かう。
直ぐに屋上に到着し、重たい扉を開けると、緩やかな風が頬を掠めた。
『...綺麗、だねぇ』
屋上の真ん中に移動し、上を見上げれば、そこには満天の星達が輝いていた。
『はじめくんに出会った日も、本当に星が綺麗だったよね』
「...うん、とっても、綺麗だった」
1年と、少し前。
あの公園で、たまたま彼女と出会って。
あれから、1年と少ししか、経っていないのに。もう、何年も、何十年も、彼女と一緒に居る、そんな気がした。
『夜空って、モノクロームみたいで、好きなんだよね。暗闇の中で、光る星が、まるでモノクロームを表してるみたい』
彼女の瞳が、揺れた。
『私の人生も、まるで、��モノクローム��の様な人生だったよ』
俺の瞳も、揺れた。
『暗闇だった。でも、はじめくんと出会って、人生が輝いてみえた。はじめくんのおかげで、私は今も、強く生きれているよ。本当に、ありがとう、』
彼女は、幸せそうに、笑った。
その笑顔が、最後の、笑顔だった。
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にんじん - 号泣してしまいました。素敵なお話をありがとうございました。大好きです。 (2020年12月4日 2時) (
レス) id: 979b35d4d9 (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - サメ子さん» コメントありがとうございます！！そう言って頂けて....とんでもなく...嬉しいです...ありがとうございました！！！ (2020年10月15日 16時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
サメ子 - お疲れ様でした！凄く良いお話でした……(；A；) (2020年10月14日 18時) (レス) id: 03b42f91b7 (このIDを非表示/違反報告)
Daaa(プロフ) - 天夢香さん» コメントありがとうございます！おおお、ド、ドハマリなんて...光栄ですありがとうございます！次回も何か書けたらいいなぁ(遠い目 (2020年7月26日 18時) (レス) id: 4b5c938df8 (このIDを非表示/違反報告)
天夢香(プロフ) - お疲れ様でした。3話読んだ瞬間どハマりしてしまいました。とても面白かったです！次回の作品も楽しみにしています…♪ (2020年7月26日 17時) (レス) id: 6c52710f91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Daaa | 作成日時：2020年7月5日 9時
