いわゆる箱入り娘のような。

kwkm ページ16

レースの服 kwkm



「……zzZ……ハッ！」


何度目かの居眠りから目覚め、私はボーッとオフィスを見渡した。
今この場所にいるのは、寝ぼけ眼でだらしない顔をしている私と、そんな私とは対照的に黙々とレポートを書いている川上さんの2人。
他の皆は動画の撮影中なんだけど、川上さんはどうしても今日中に終わらせないといけないレポートがあって、今回はお休みらしい。

川上さんがあんなに集中して頑張ってるのに、私が居眠りなんかしてる場合じゃない！
ふかふかのソファからゆっくり立ち上がり、キッチンに向かう。川上さんにコーヒーでも入れよう。

「……あれ？」

棚を探すけれど、いつも入っているはずのコーヒーの粉が見当たらない。
飲み切っちゃったのかな。ストックも見当たらない。

「……よし！」


どうせ時間を持て余していたし、すぐそこのコンビニまで買いに行こう。
そういえば電池も切れたから買いに行かなきゃって伊沢さんが言ってた気がする。
ついでにまとめて買って来ちゃおう。

そうと決まれば、黙々とレポートを書いている川上さんに、軽く声をかける。


「川上さん、ちょっとコンビニに行ってきます。何かいりますか？」


私の声に、レポートを書いていた川上さんの手が止まる。


『え？』

「コンビニに行ってきます。」

『いや、聞こえとるけど。出かけるん？』

「………？はい……。？」


私の返事に、突然黙り込む川上さん。
なに？どうしたんだろう？

『…一人で行くん？』

「…そう、ですね。みなさん撮影中ですし、川上さんレポート書いておられますし…。」

『……絶対今行かなきゃだめなん？』

「え？いや、そういうわけじゃないですけど…。」

『じゃあ少し待っとって。レポート終わらせる。』

「え！？」


そう言ってまた手を動かし始める川上さん。見るからにさっきより手の動きが早い。
…って、え？終わらせる？


「すぐそこのコンビニ行くだけなので、全然1人で行けますよ？」

『いや…、だめやろ、それは』

「な、なんでですか？ていうか、レポート、締切も間に合うか怪しいって言ってませんでした…？終わらせるって…、コンビニなんかのために手抜いたりとかやめてくださいよ…？」

『手抜いたりなんかせんから。倍集中して倍早く終わらせるだけ。』


うっ…川上さんらしい…。クールに見えてこういう男らしいところが、ファンのみんなにも刺さるんだろうなぁ……って、そうじゃなくて！


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