【HQ】覚悟しろ、宮治

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「治くん、離してくれへん？」

「いやや」




抱きしめられて数分、最初は治くんの体温で温かかったけど、雨で濡れた部分がじわじわと冷えてきて寒い



「風邪ひくて」

「俺が看病したる」

「そういうことちゃうわ」



離してと言いつつも自分から強く剥がそうとしない私に気づいたのか、駄々をこね始めた


「最近A不足やってん、ええやろ？」

「風邪引くって」



そういう間にもくしゃみが出る
ほら見ろ、といったばかりに治くんを睨むと急にシュンとした顔になる




「ごめんな、喧嘩なんかしてへんかったら今日一緒に帰れたのに」

「もうええって、私だってちゃんと治くんと向き合おうとせんかった」


だからお互い様、と笑うとため息を疲れる




「Aさあ」

「もっと自分がかわいいって自覚持って」



さっきまで抱きしめていた腕が緩められ、顎を手で持ち上げられる


これはキスだ、絶対にキスだ
目をつぶって侑くんに念を送る

侑くん今までありがとう、もう侑くんに頼らず独り立ちします



きっとあと数センチ、さっきよりもぎゅっと目を瞑ると後ろから物音がする




いや、ガチャってもしかしなくても


「お前ら、人んちの玄関で何してんねん！」

「ここは俺んちや」

「しってるわ！！」



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