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各寮長と新入生が退場した会場には、私と監督生と学園長、そして闇の鏡のみ。
静かになった会場では先程に比べ学園長の声がスっと通った。
クロウリー「_____さて、ユウさん、Aさん。大変残念なことですが......貴方たちには、この学園から出ていってもらわねばなりません。魔法の力を持たない者をこの学園へ入学させるわけにはいかない。心配はいりません。闇の鏡がすぐに故郷へと送り返してくれるでしょう」
隣から安堵の息が聞こえる。
訳の分からない状況から開放されるんだと何も疑わず、安心しきっている監督生を思うと私はいたたまれなかった。
高校1年生の監督生と高校3年生の私。私の方が2年長く、経験もある。そんな私でさえ、先のことを知らずこんな状況に居たとしたら、帰れるってことに凄く安心するだろう。
クロウリー「さあ、扉の中へ。強く故郷のことを念じて......」
ユウ「長い夢だった.........」
クロウリー「さあ闇の鏡よ!この者をあるべき場所へ導きたまえ!」
闇の鏡「...........................」
学園長の言葉に闇の鏡は何も応えない。監督生は不安を感じ取ったようで、ピクリと一瞬顔を歪めた。
クロウリー「ゴ、ゴホン......もう一度。闇の鏡よ!この者を.........」
闇の鏡「どこにもない......」
クロウリー「え?」
闇の鏡「この者のあるべき場所はこの世界のどこにも無い......無である」
帰り方を失ったと言っても過言ではない状況に監督生は汗が止まらない。
クロウリー「で、では!こちらのAさんは...」
『たぶん、私も同じ状況なので全く一緒の言葉を返されるのがオチですよ。彼が今言われたように"無である"ってね』
ここにいるのが少人数のおかげで緊張感が無く、やっと普通に喋ることができた。
クロウリー「なんですって?そんなこと有り得ない!ああ、今日は有り得ないのオンパレードです」
そんなこと言われたって私たちからしても今の状況は有り得ないことですよって話だ。
監督生も私も言葉で表すとすればトリップになる。
ただし、私にとって監督生がここに居るというのはお話上なんの間違えもない。私がもとあるお話しにトリップしたことの方が、もっと有り得ない。
あんなに何度もトリップしようと試みた過去を何もしてないのに一瞬にして叶えられてしまった。有り得ないのに、今の状況が嬉しくて仕方ないのだ。
これが例え夢だとしても...。
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白凪(プロフ) - さやたんさん» イラストの方から飛んできてくださりありがとうございます!!結構な自己投影(美化)作品となっているため、面白みが感じられないかと思いましたがそう言ってもらえてとても嬉しいです!!亀更新ですが頑張ります!!(ちなみに推しはレオナなのです.....!) (2020年8月7日 7時) (レス) id: 03f781a71d (このIDを非表示/違反報告)
さやたん - 白凪様の絵を見てたら。こちらの小説があると知って飛んでまいりました。凄い面白いです!!!更新頑張ってくださいー推しって誰ですか? (2020年8月6日 23時) (レス) id: 3595494de5 (このIDを非表示/違反報告)
白凪(プロフ) - 「 」さん» ゆっくりだけど書いていきます!! (2020年8月4日 22時) (レス) id: 03f781a71d (このIDを非表示/違反報告)
「 」(プロフ) - つ、続きが……気になりすぎる…… (2020年8月4日 22時) (レス) id: e81c17c75a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白凪 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hsn145sfam1/
作成日時:2020年8月4日 21時