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Taiga
樹の口から飛び出したはっきりと拒絶する言葉。ガーン！と言う効果音が付くのではないかぐらい松村くんは落ち込んでいた。
北斗「す、すみませんでした…」
樹の毛並みを撫でて、松村くんその場を後にした。
大我「樹って本当にバカ」
樹「…殴んねーの？」
大我「その方が痛い時だってあるでしょ」
樹「…。」
その日、学校で樹の姿を見ることはなかった。
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juri
優吾「転校初日からサボったの？」
縁側に寝転んだ俺を見て、優吾は注意するわけでもなくただそう言った。
樹「俺、この家出たい…」
優吾「まだ3日目だろう。これも修行と思って我慢を覚えな？」
樹「酷いことばっかり言っちゃうんだ…。彼奴に」
言いたくもないのに、口から出るのはトゲがある言葉ばっかで嫌になる。
優吾「…そうやって後でショゲるなら、怒鳴んなきゃいいのに悲しい
樹「無理なんだよ俺は。人と関わって暮らしてくのに向いてねーの」
優吾「中にはそういう人もいるけど、お前の場合は単に経験が足りないだけだな…。
人と関わっていくのも修行が必要なんだよ。ただその修行は山の中ではなく、人の住む街の中でしなくてはだめ。
他人と交わって、傷つけたり傷つけられたりしながら他人を学んで、己自身も学ばないと本当の意味で他人を思いやれるような人間にはなれねーよ」
樹「…。」
優吾「武闘は黒帯でも、人付き合いでは白帯だ。いつかお前を好きだと言ってくれる子を大切にできるように、今は逃げずに修行を続けろ」
樹「…そんな奴いるもんか」
優吾「いたらどうすんの？」
樹「想像もつかねーな。とりあえず『正気かよ』って聞いてやる」
優吾「あっそう」
どこか意味深に笑う優吾を背中越しに見てたけど、大我が帰ってきたことで再び縁側に視線を戻した。
優吾「おかえり。北斗くんは？」
大我「バイト。帰り遅いらしいから迎えに行こうと思うんだ」
優吾「あぁそうしてあげな？ここらは痴漢が出るから」
樹「…。」
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作者名：真っ黒バード | 作成日時：2022年3月9日 19時
