【wrwrd】寂しがりな彼女に花束を (ページ1)

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冬の季節ページ1

「あっ、久しぶりやねぇグルさん」
「……Aじゃないか」

ふんわりとした口調の女性が、コンビニの袋をもってグルッペンの目の前に現れる。
肌寒くなった季節に丁度良さそうな、白いタートルネックに紺色のダッフルコート。艶やかなセミロングの茶髪にやや垂れた優しい瞳。
昔となんら変わらないどこか寂しげな笑顔が、心を痛ませた。

ちらりと相手の左手を見てみる。あってもおかしくない結婚指輪の姿はなく、まだ結婚していないのか、とぼんやり考えた。

「こんな所で立ち話もあれだ。家に来るか？丁度トントン達もいるし」
「おぉ、行きたいです～」

目を輝かせてそういう彼女は、ヒヨコのようにグルッペンの後ろについてきた。カップルや夫婦のように見えるような構図だが、本人達は全くそう思っていないらしい。ただお互いに昔話に花を咲かせながら、グルッペンの家まで向かった。

「ただいま～鍋の具材買ってきたぞ～」
「あー、おかえりグルちゃん。今荷物取り行くわ」
「全部任せたゾ！」
「任すな！せめて半分は自分で運べや！」

リビングから聞こえる大きな騒ぎ声。その騒ぎの中からひょっこり出てきた大先生は、グルッペンの隣にいる女性を見てぎょっとした。一瞬フリーズして、二度見する。そして少し考えて、リビング向かって笑いながら大声を出した。

「グルッペンが女の子お持ち帰りしてるでー！！」
「いや、高校時代の友人だから！トントンが証人や！！」

有らぬ疑いをかけられそうになり、慌てて訂正と証拠を提示する。グルッペンとしては大変困った事態だが、女性はクスクスと口元に手を添え、堪えるように笑っていた。

いつまでも玄関先に居られるわけがなく、とりあえず2人で家に上がる。コートをハンガーに掛けて重いポリエチレンの袋を持ち上げ、賑やかで暖かいリビングに足を運んだ。