924号室 (ページ11)

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ドサッと、

押し倒された時、山田は何か言いかけた。

「あのさ…… 」

「何？」

「 ……なんか、いつもと違う場所だから緊張するな」

「うん、そうだね
　片付け手伝ってよね？」

「はいはい」

けれど、山田は少し間をおいて違うことを口にしていた。

本当は何を言いたかったの？

少し顔が赤かったけど、

もしかしたら、下を向いていたからなのかもしれないけどさ

「 ……ね、」

「何？」

「今日は俺、優しくできない気がする」

「いつも優しくないのに？」

「優しくやったつもりでした」

「 …そう、」

「なぁ、はじめての時のこと、覚えてるか？」

「うん、覚えてる」

そりゃ、忘れられるわけないじゃん

人生初だったもん

鮮明に残ってる。

なんで、それを今？

「あの時、色々とやばかったよな」

「うん。
　よく分からなかったし」

「俺も。」

「え？」

「俺も、あれが最初だったから。」