闇と光。 ページ33
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それにしても、こんな時間に虫なんて見つけられるのだろうか。
川沿いを歩きながら何気なく考えていたのは3人のことだった。
WZ「まぁ…いっか、」
どうせアイツらのことだ。
虫がいなくたって今頃バカ騒ぎして楽しんでいることだろう。
3人の心配ばかりしていないで、
少しは自分と向き合ってみるか。
WZ「…………」
ひゅー……と静かに俺を巻き込む冷たい冬の風。
まだ雪が降る気配は遠いけれど、夜は特にだいぶ肌寒くなってきた。
今夜は本当に寒い。
凍えるほどの冷気で目がチカチカする。
体だけじゃなく心まで支配してしまいそうなほどに。
一人になってから色んなものを押し入れに閉まってきた。
あの時閉まった暖房器具も、そろそろ出さなきゃなぁ…。
しかし、閉まったのはそれだけじゃない。
写真やお揃いのマグカップ、それから最後のあの手紙も
思い出も記憶も全部。
閉じ込めて…まぁ、閉じ込めきれてないけど。
心にはまだ残っているけれど。
WZ「っ…俺も素直じゃないなぁ、」
素直に見上げてしまえばいいのに。
俺がここに来たのは、ジュンに「虫捕まえ」をさせるためだけじゃない。
俺自身も、ここへ来たかったのだ。
夜なのに、不思議と世界を明るく照らすのは
今宵の満月と、それから____________
WZ「…っ……」
苦しくなって、咄嗟に世界をシャットダウンした。
目の前は真っ暗。
何も見えない、見たくもない。
それが零れないように閉じたのに
無理にでも溢れ出そうになるそいつを熱で感じながら
俺は呼吸するだけで精一杯だった。
.
その時だった。
.
JN「ジフン見て！！この虫、おしり光ってるの！！」
なんで、コイツらはこういう時に必ず俺の前に現れるのだろう。
HS「ジュン、可哀想だからその虫 離してあげて？」
JN「でも寒いんじゃないかな？大丈夫かな？」
HS「確かに……ねぇジフンどうしたらいい！？」
また俺を困らせてさ。
WN「また聞こえた。ジフンのSOS」
求めてもいない助けに来てさ。
WZ「随分と季節外れだな、そいつ」
真夏に生きるはずの蛍が
11月という正反対の季節に現れて
お前も、そうだったら良かったのに。
WN「ジフン、俺らから離れないでって言ったでしょ？」
WZ「お前らが離れてくんだろ笑」
WN「ふふ、確かにね」
なんでそんなに、コイツらは俺と一緒に居ることを望むのか
それを知るのはもうすぐのお話____________
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作者名：しょーやま。 | 作成日時：2021年9月17日 23時
