皇輝くんはキューピット！《 少年忍者 》

＊ ページ38

･


｢稲葉くんと悠仁っていつから仲良かったの？｣

｢悠仁はねぇ、初めて話し掛けてくれた人なんだぁ｣




転校初日。人見知りだという稲葉くんは職員室が分からず、しかし話し掛けるにも話しかけられずに困っていたそう。

その時に、突然話し掛けてきたのが悠仁くんだった。




｢いきなりさ、ぼく鈴木悠仁！みたいなテンションで声掛けられたから、何事かと思ってちょっと無視してみたんだ｣

｢稲葉くん、表情と内容が合ってない...｣

｢それでもね、悠仁ってずっと話し掛けてきたんだよね。だから、まぁ...大事だと思ってるよ。ぼく、人と話すの苦手だからさ｣




まだまだ純粋無垢な稲葉くん。きっと、稲葉くんの中の大事は"好き"とかそういう恋愛感情の類ではなくて、仲間とかそういう意味合いな気がする。

こんなピュアな子に、俺はこれから使命とはいえ悠仁くんとくっついてもらわなければならないと思うとなんだか心が痛い。




......と、その時。





？｢......あ！稲葉、なにやってんのー？｣

稲｢星輝くん！｣

皇｢......ほしき...？｣




稲葉くんの名前を呼んで駆けてくる1人の男の子。その子を見た時に俺の中でなにかがモヤモヤとし始める。そしてその、星輝と呼ばれた男の子の方も俺を見て表情がどんどん強ばっていく。



星｢......こう、き...？｣

皇｢はい......俺、川崎皇輝って言うんですけど｣

稲｢あれ。星輝くん、やっぱり知り合い？なんか、雰囲気似てるなぁって思ってたんだけど｣

皇｢えっと...？どこかで、お会いしたこと｣

星｢なんで...だって、皇輝は......｣





グッと拳を握りしめて、それだけ呟いた彼は走って行ってしまった。ここに来て、恋とは全く違う新たな問題が勃発することとなる。


･

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す