皇輝くんはキューピット！《 少年忍者 》

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立ち入り禁止の非常階段。来るのは初めてで、その踊り場で小さく蹲る織山くんを見つけた。彼は、俺の足音で一旦顔を上げたが、またすぐ下を向いてしまった。

俺は織山くんの前に屈み、声を掛けた。



皇｢......織山くん、大丈夫？｣

織｢......大丈夫じゃない｣

皇｢だよね......さすがに、俺もびっくりしたよ｣




拓実くんが鈍いことはなんとなく察してきてたんだけど、まさか俺の事を織山くんが好きになってると思ってたとは......。

蹲る織山くんに、どう声を掛けたらいいのか分からずにいる俺に、彼は口を開いた。



織｢拓実って、俺の事なんとも想ってない｣

皇｢そんなことないと思うよ？｣

織｢だって、｣

皇｢そう思うなら、織山くんから言葉にしてみるのもアリなんじゃないのかな｣



するりと口をついて出た言葉に、驚いた織山くんが顔を上げた。俺も、こんなアドバイスみたいなことが言えるとは思ってもなかった。だけど、俺はキューピットになるんだ、と自分を鼓舞する。



皇｢だって、織山くん拓実くんに好きって伝えた？伝えてないのに、拓実くんがなんとも思ってないなんて分からないじゃん......少なくても、俺から見たら拓実くんが、織山くんのこと、なんとも思っていないようには見えないよ？｣

織｢......わかんないじゃん、そんなの｣

皇｢逃げてるなんて、かっこ悪いよ｣

織｢にっ...逃げてねぇし！｣



ムッとした様子の織山くんだったが、暫く様子を見ていたらゆっくりと立ち上がった。そして。



織｢......拓実んとこ、行ってくる｣

皇｢織山くん...！頑張れ！｣



走り出す彼の背中に向かって、どうか叶いますようにと願った。

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