ただ君を見つけただけ。《 hk × kt 》

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「慧さんのお家に働いていた頃。テレビからこの曲が流れてきたんです。



この時、はじめて胸の奥が締め付けられるようにきゅうっとなって、体が熱くなって......故障かもしれない、と不安になって慧さんに相談したら、それは"好き"という感情だと教えてもらいました。」







遠くを見つめるかのような瞳。

なんとなく告げられているようなタイムリミットに、俺はひとり苦しくなる。息が詰まりそう。




けど、もう迷いはない。









「__________この曲は、俺の慧さんに対する気持ちが好きだというものと教えてくれた、大切な曲なんです」




「......きっと、慧さんも同じ気持ちだったんだね。今のけいとみたく、最後の最後まで、ずっと想っていたんだね。」






いつの間にかそのオルゴールを抱きしめていたけいとを、お墓の前にそっと横にしてあげた。

一際強く風が吹いたかと思えば、けいとは、俺が知っている中で1番綺麗で優しい笑顔を見せてくれたんだ。

その笑顔を、俺は一生忘れることなんかないだろう。






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__________ありがとう......ひかる、さん.........







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「......はは、ずりぃって。そんなの...」









目を閉じたけいとの髪を、最後にそっとすくってから、俺は日記をその場に置いて歩き出す。

最後に振り返った花畑の中に、一瞬だけ笑い声が聴こえたような気がしたのは、気のせいだったらいいな。


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