#042 ページ42
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小さい頃、冒険気分で使用人たちの目を盗んで屋敷から飛び出した。広がる世界はあまりに広くて、知らない街の景色にどんどん惹かれるがまま足を運んだせいで、迷子になった。
困り果てていたそんな時、声を掛けてくれた女の子は俺の目にキラキラと輝いて見えた。
明るくて自由で、優しくカッコいいその子に惹かれた。
ずっとずっと会いたくて、思えば思うほど募っていく気持ちが恋心だと認識するのに、時間はかからなかった。
今、目の前にいる彼女は間違いない。
ずっとずっと、恋焦がれてきたあの子だと__________。
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「......最初に会った時に、Aさんになんか懐かしい感じしてたんですけど、勇気なくてずっと聞けなかったんです。でも......あの時、すごくカッコいいって思った時にあの子と重なって、ようやく気がつきました。ずっとずっと、会いたかったあの子はAさんだったんだって」
信じてもらえないかもしれないですけどね、と付け足す海琉くんは照れたように笑った。
そんな......こんなこと、ある?
そう思った私は、考えるよりも先に言葉が口から溢れていた。
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作者名:時雨 | 作成日時:2022年11月19日 10時