検索窓
今日:9 hit、昨日:14 hit、合計:31,221 hit

#004 ページ4




田村海琉くんと出会ったのは、小学生の時。

普通の家庭に生まれた私は、どっちかというと田舎娘みたいなタイプで、木登りや追いかけっこを近所の子どもたちとして大騒ぎしながら毎日を過ごしていた。

品の欠片もない、かけ離れた存在だったのを変えたのは、彼との出会いだった。



『......カブトムシ取ったぁぁぁ!!』

『すごい、A!かっこいい!』



近所の男の子たちと一緒に虫取りをしていたら、登った木の先に見えたのは高そうな制服を着た男の子だった。迷子になったらしく、辺りをきょろきょろしていたので、私は気になって声を掛けに行った。



『どうしたの?!迷子?!』

『......っ!は、はい...』

『どこ?!案内したげる!』



スっと手を差し出したけど、その子は怯えているのか肩を震わせていた。どうしたのかと思ったけど、当時の私は手が汚れていた。育ちの良いこの子にとっては、それが嫌悪に感じたんだろう。だから、すぐに手を引っ込めて歩き出す。



『とりあえず交番に行けば、大丈夫!心配しないで!』

『......、』

『え?』

『お、大きな、噴水...ボクの家の、目印』

『大きな噴水?!知ってる!こっち!』



そう言って手招きしたら、今度は隣に並んで歩いてくれた。それが、田村海琉くんだったのだ。


#005→←#003



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (62 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
380人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:時雨 | 作成日時:2022年11月19日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。