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#022 ページ22




学園の中だけじゃなくて、通学路でも学園の『華』らしく振る舞おうと努力を重ねた。歩き方とか姿勢とか言葉遣いとか、いつも以上に気をつけて送る日々。

入学してすぐは「なんであの子が『華』?」「所詮平民でしょ」などと言われることが多かったけれど、海琉くんの隣にいることをだんだんと周りが認め始めてくれるようになってきた頃。


「......Aさん?なんか、疲れてない?」

『え?!そ、そんなことないですよ?』

「そう?......今日はもう、終わりにして帰ろうか。リハーサルもあるしね」

『そ、そうですね...』


最近、なんだか疲れが取れなくなっていた。なんとなくぼーっとしちゃうことも多いし...と、帰り支度をしていたら、海琉くんが「あ」と声を出す。


「見て見て?窓のところ」

『え?......あっ、』


海琉くんが指差した先にいたのは、窓の外に見えた蝶々だった。ひらひら舞う姿に可愛いな、と見つめていたら海琉くんはニコッと笑った。



「可愛いよね、蝶々」

『はい、可愛いですね』

「Aさんは、虫とか平気な人?」

『......私、は』



突然の質問に、驚いた。平気に決まっている。虫捕りしてたくらいなんだから。だけどそんなこと言ったら、海琉くんはなんて思う?



『......苦手、です。蝶々とかは、綺麗だと思いますけど』

「......そっか」



困ったように笑いながら答えれば、なぜか海琉くんの表情が曇ったように感じた。


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作者名:時雨 | 作成日時:2022年11月19日 10時

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