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青木先輩のおかげで、ドレスやヘアメイクの手配が無事に出来、後はダンス...!と熱心に練習を重ねる。皆が帰ってからも残って先生に教えてもらいながら足を引っ張らないように頑張った。今日も1人で練習をしていたら、高いヒールのせいで足元がぐらついて、その場に倒れそうになった......が、誰かが支えてくれて、難を逃れた。
『か、海琉くん...?!』
「Aさん、大丈夫?」
『はい......!』
「いつも、1人で練習してるの?無理してない?」
『してないです!』
海琉くんが心配してくれるのは嬉しいんだけど、いつも足を踏んだり私がステップ間違えたりして迷惑かけてるから、これ以上は迷惑掛けたくないのに...と、海琉くんがそっと、私の手を取る。
「......一緒に練習しようよ」
『そんな、海琉くんに迷惑かけられないよ』
「迷惑なんかじゃないよ。俺だって自信ないし、2人で練習した方がいいと思って」
『......じゃあ、お願いします』
控えめにそう言ってみたら、海琉くんが笑った姿に小さい頃のことを重ねてしまった。あの時の王子様のような笑顔は、あどけなさが抜けてすっかり大人びた笑顔になっていたけど、見惚れるくらいかっこいい。
この人のことが、私は本当に本当に大好きだから。
だからこそ、やっぱりよく思われたい。
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作者名:時雨 | 作成日時:2022年11月19日 10時