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『とにかく、迷惑かけないようにダンス練習しないと...』
頭の中でステップをイメージしながら歩いて帰っていると、公園に小さい子供たちが集まってなにかをしていた。横を通り過ぎようとしたら、その会話が聞こえてきた。
「はやくつかまえてよ!」
「むりだよ!こわいもん!」
「なおちゃんやってよ」
「ゆうくんがとって!」
......虫取りか、懐かしいなぁ。
振り返ると、どうやらカマキリを捕まえたいらしいけど触れないのか押し付け合いになっていた。今は虫の苦手な子も多いよなぁ、と思いながら辺りを見回す。そして、同じ制服を着た生徒がいないことを確認してから、道を戻る。
『取ってあげようか?』
「ホント?!いいの?!」
声を掛けたら、嬉しそうに笑った。そのままそっと自分の手にカマキリを乗せて子どもたちに見せるとキラキラした瞳を向けてくる。
「おねーさんすごいね!」
「むしさわれるの、かっこいい!」
『ふふ、ありがとう......カゴに入れてあげるから、少ししたらお外に逃がしてあげてね?』
「うん!」
喜んでカマキリの入った虫かごを見つめる子どもたち。可愛いなぁ、と思いながら再び歩き出した私は、見つめる視線に全く気がつかなかった。
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作者名:時雨 | 作成日時:2022年11月19日 10時