華になる！《 Kairu.Tamura 》 (ページ27)

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『......なるべく、袖捲らないように気をつけなくちゃ...』

あの後、チャイムが鳴って慌てて教室に戻った。尚大に掴まれていた手首を見たら赤く跡が残ってしまっていたから、急いで冷やしたけど薄らとまだ跡があった。見られたら海琉くんに心配されそうで、長袖のカーディガンで隠して練習に向かった。今日は会場でのリハーサル日で、いよいよダンスパーティーまで1週間となった。

あっという間すぎる日々の中で、正直、ちゃんと笑えているのか不安になってきた。こんな気持ちで、『華』として海琉くんの隣にいてもいいのかな...って思えてきた。

「......元気ないね？Aちゃん」

『青木先輩っ...！』

トコトコと誰かが駆け寄って来た、と思ったら青木先輩だった。よく見たら、可愛らしく爪が桃色になっていた。『可愛いですね』って言ったら嬉しそうに笑う。

「えへへ、でしょ?!自分でも気に入ってるんだー！｣

『先輩、ピンク好きなんですか？』

「うん！可愛いものとピンクが好きなの、だから小さい頃なんて親にヤバいんじゃないかって心配されたこともあって｣

『え?!そうなんですか？』

「でもね、いいんだ！俺は好きな物をちゃんと好きって胸張って言いたいから！」

そう言って笑う青木先輩は、ものすごくキラキラして見えた。

私も、こんな風に正直になれたら良かった、なんて思った。

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