ロマンスが降り注ぐ。《 Koki.Kuroda 》 (ページ42)

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#042 ページ42

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結局いちごオレといちごのパンケーキまで頼んでしまった。黒田くんもいちごオレとキャラメルナッツのパンケーキを頼んだ。口に頬ばれば甘さが広がって幸せな気持ちになった。

『......美味しい』

「マジ？こっちも美味いよ！食べてみる？」

『え？いいの？』

「ん、」

そう言って、黒田くんはさも当たり前のようにフォークで刺した一口分のパンケーキを私に向ける。......これ、漫画とかでよく見る、あーん、ってやつだよね？そんな、私なんかが黒田くんからのあーんって...！恥ずかしながら、恐る恐る口を開けて食べると、キャラメルの甘さの中にナッツの香ばしさが広がったちょっと大人の味に感動した。

『美味しい...！』

「でしょ？俺もそっち食べてみたい！」

無邪気に笑う黒田くん。私は、先程彼がやっていたみたくフォークに一口分のパンケーキを刺す。だけど、口元まで持って行くのが恥ずかして躊躇っていたら、不意に黒田くんの手が伸びる。

そのまま、フォークを持った私の手を掴んで、そっと引き寄せる。パンケーキは彼の口の中へと入っていって、優しい笑顔を浮かべた。

「ん！こっちも美味いな！」

『......うん、どっちも美味しいね』

自分がロマンス小説の中に、溶け込んでいるかのように錯覚してしまう。

それほどまでに、黒田くんは甘いんだ、きっと。

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