ロマンスが降り注ぐ。《 Koki.Kuroda 》 (ページ32)

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一緒に帰ろうって言ったのに、黒田くんが向かった先は昇降口じゃなかった。
この前、勉強会で使っていた空き教室だった。

「ちょっとここで待ってて？」

『う、うん』

そう言って、黒田くんは出て行ってしまった。どうしていいのか分からず、とりあえず教室を見回す。だけど、思い出すのはあの日の2人の会話。

"好きな子に告白も出来ないくせに"

__________......やだな、思い出してまたモヤモヤして。

小さく溜息をついたら、急に頬にヒヤッとした感覚がして勢い良く顔をあげたら、ジュースを持った黒田くんが悪戯っぽく笑った。

「びっくりした？ちょっと座ってしゃべろーよ」

『びっくりした......うん』

いちごオレを私に渡して座った黒田くんの、向かい側になんとなく座る。黒田くんは、しばらく最近の檜山くんの話とか、渉くんと出掛けた話とかいろいろしてくれた。私が避けていたのに、全くそれを気にしないかのように。

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