ロマンスが降り注ぐ。《 Koki.Kuroda 》 (ページ29)

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#029 ページ29

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苦しくて、涙が止まらない。

胸が張り裂けそうって、こういう時に使うんだと思った。

相談する友だちもいなくて、とてもじゃないけどこんな顔で、こんな気持ちで黒田くんに会うことなんか出来なくて。「用事思い出して、ちょっと行けなくなりました。ごめんなさい」とだけメッセージを入れた。

家に帰ってきて、電気もつけずにベッドの上に寝転ぶ。目を閉じたら、考えたくないのに黒田くんとのことが頭に浮かぶの。

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『__________......あ！生徒手帳みーけ！拾ってくれたの？サンキュー！』

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『Aさんさぁ、いっつも何読んでんの？』

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『マジ助かる！女神！』

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『連絡先、教えてくんない？』

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『今度、なんかされたら言って？絶対助けるから』

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『うん......俺も、楽しい。Aちゃんと喋んの』

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勝手に浮かれて、ときめいて、バカみたい。

黒田くんは、まさしく誰もが憧れる王子様なの、きっと。

だけど私じゃ、恋愛(ロマンス)小説みたいにヒロインなんかになれっこないのに。

もう戻れないくらい、好きになっています。

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