ロマンスが降り注ぐ。《 Koki.Kuroda 》 (ページ28)

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黒田くんと映画を観に行って、その日からずっと頭の中は黒田くんのことばかり考えている。今日も勉強会しようって誘われたから、職員室に日誌を提出してから指定された空き教室に向かった。ドアを開けようとしたら、中から会話が聞こえてくる。

「黒ちゃんさぁ、最近ずっと機嫌いいよな」

「分かる？はっ、今の俺は最強だぜ」

......渉くんと、黒田くんの声だ。

楽しそうに話す2人に仲良いなぁ、と思いながらしばらくそこにいたら、聞こえてきた会話に凍りつきそうになった。

「なにが最強だよ。好きな子に告白も出来ないくせに」

「おまっ...それは別だろうが！」

"好きな子に告白も出来ないくせに"

渉くんの言葉に、ショックが隠せなかった。黒田くんって、好きな子いたんだ。黒田くんに想われる子はどんな子だろう、絶対可愛くて明るいクラスの人気者タイプなんだろうなって勝手に思ってしまって、泣きたくなる。

ちょっとトイレにでも行ってからにしよう、とその場から駆け出そうとしたら、前から来た人にぶつかってしまった。

『ごめんなさっ...』

「こちらこそって......どうしたの？なんかあった？」

『なんっ......でも、ないっ』

「ちょっ...Aさん?!」

檜山くんが心配そうな顔をした。だけど止まったら泣いちゃいそうで、必死にトイレまで走った。

着いた時に鏡で見た自分の顔は、涙で濡れていた。

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