Episode : 036 ページ36
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折り畳み傘を返そうとしたらしいが、万が一目黒やほかの寮生たちに目撃されたら、と考えた佐久間は、隣なんだからベランダから行けるのでは!と思ったらしい。
俺もそう言われてベランダ見てみたけど、仕切りはまぁまぁの高さあって、1歩間違えたら柵の外から落ちてしまいそうだった。
iw「無茶すんなよ。危ないな」
sk「あははっ......自分でも、ちょっと無茶したかも」
とりあえず中に佐久間を上げたが、お互い落ち着かず立ったまま向き合う。何となく流れる気まずさを払拭するかのように、明るく話し出す佐久間。
sk「岩本くん、今日はありがとう!傘、めちゃくちゃ助かった!」
iw「......いや、別に」
sk「うん!それで、これ......良かったら、」
そう言って、着ていたパーカーのポケットから佐久間が出したのは小さなチョコレートボックスだった。可愛らしくラッピングされた箱の中には、4粒ほどのおしゃれなチョコレートが入っていた。
iw「別に、大したことしてないから」
sk「俺にとったら、すっごい助かったんだよ?......それとも、甘いもの苦手?」
iw「めっちゃ好き!......っ、」
sk「......ふ、ふふっ...」
不安そうな佐久間に、チョコレート大好きな俺は思わず食い気味に答えてしまった。そんな俺を見て、嬉しそうに笑う佐久間がこれまためちゃくちゃ可愛かった。
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作者名:翠恋 | 作成日時:2021年10月24日 0時