転校生 × 赤色 ページ10
(…うわぁ、最悪だ)
学校へ向かうために乗り込んだ車両は、有り得ないほど混んでいた
そう言えば、今日の占い、最下位だったな…
髪は寝癖が直らないし、サイフも忘れて家に1回戻ったし…
朝からツイていない
挙句の果てには
(…うわぁ、痴漢とかっ…気持ち悪い…!)
どこからかわからないけど、確実にスカートの上から撫でてくる手
しかも徐々にスカートをめくって中を触ろうとする
(あとちょっと…あとちょっとの我慢…!)
泣きそうになるのを必死に我慢していたら、気持ちの悪い手が引き離されて、響く凛々しい声
「…おじさん、彼女嫌がってますよ?一緒に降りてください」
あまり高くない身長に似つかないほどの男らしい凛とした姿
少しウェーブのかかった茶髪が、すごくオシャレ
思わず見とれていると、電車の扉が開く
「…あんたも、降りて」
「え、あっ…はいっ…」
駅員に事情を説明して、そのおじさんを受け渡し、ホームに戻った
隣には見慣れない制服の彼がただ黙って立っている
(…遅刻、させちゃったな)
「あの…助けてくれて、ありがとうございました。それと、ごめんなさい…」
「…え?あ、別に。それより名前、聞いてもいい?」
「Aです…えと」
突然のことに驚いていると、ふんわり笑った彼が
「俺、今日から平成高校に転校する、山田 涼介って言うの…仲良くしてね?」
聞けば、制服がまだ間に合わなかったらしく、以前の高校のを着てきたらしい
まだとまどう私に、彼はグイッと顔を近づけて
「ね…俺、Aちゃんのこと、もっと知りたいから」
"お礼はデートがいいな?"
「へっ…?// わ、私?!」
「うん…だめ?」
ツイてないなんて、そんなの嘘だった
だってこんなに素敵な人に、出逢わせてくれたんだもの
(End.)
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作者名:時雨 | 作成日時:2015年8月6日 22時