#003 ページ4
･
真昼間の人の賑わう露天街。
人々はここで欲しい商品を買い、露天商は人々に商品を売る。そうしてこの国の経済は回っている。
そんな人がごった返している中、それは突然だった。
「うわぁぁあっ...！」
「
『黙レ！騒グヤツラハ、ミンナ俺ノ餌食ダ！』
人の多い時間帯に吠える男の腕には、澱んだ灰色の蝙蝠の模様が現れた。
両手を広げた瞬間に無数の蝙蝠が現れて、逃げ惑う人々に噛みつく。噛み付かれた人は全身に麻痺が回り、その場から動けなくなる。
近くで買い物をしていただけの母娘も蝙蝠に噛み付かれ動けないでいると、その男が涎を垂らしながら近づいてくる。鋭い牙を光らせながら。
『ドッチカラ、喰ッテヤロウカ...？』
「やめて！娘に、手を出さないで！」
「おかぁさぁぁあん！」
『......ジャア、オ前カラダァァァ！』
「やだよぉっ...おかーさん......！」
次の瞬間、泣きじゃくる娘も、鋭い眼差しを向けていた母親も、その男も、蝙蝠も、逃げ惑う人々も、一瞬にしてその輪の中で突然現れた人物に目を奪われる。
駆け抜けるように人の中をくぐり抜けながら現れた人物はその牙をむき出しにした男の頬をするりと撫でた。そして、両手で包むようにそっと触れたかと思うと、大きく目を見開く。左眼に浮かぶ兎の模様が桃色に光ると、脳に直接呼びかけるような感覚。
「__________......ねぇ、気持ちいいこと、してあげる」
『ナン、ダ......』
くらくらと酔いしれるように、まるで恋をしているかのような感覚に囚われる。彼しか見えなくなって、自由に飛び回っていた蝙蝠たちも彼に惹き付けられるかのように寄ってくる。近づく唇に惑わされて目を閉じれば、首筋に手刀が繰り出されて、男が意識を失った。
「んふふっ...ごめんねぇ？サクマさんはそんなに安くないんでやんすよ？」
微笑む姿でさえも妖艶な彼に、無邪気に跳ねる桃色の兎が肩に飛び乗った。
＊＊＊
File : 03 サクマ
Familiar : 兎( 能力:妖艶 )
その瞳に魅せられた瞬間から彼の虜になり思考力を奪われる。能力発動時には左眼にある兎の模様が桃色に染まる。
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蕾華(プロフ) - 翠恋さん» 返信ありがとうございます。わかりました。更新楽しみにしています！頑張ってください。 (2020年5月28日 9時) (
レス) id: 169f18cdbf (このIDを非表示/違反報告)
翠恋(プロフ) - 蕾華さん» 蕾華さま、コメントありがとうございます！ネタバレになるため詳しくは言えませんがご想像にお任せします！モチーフになっているグループはありますのでぜひこれからも読んで頂けると嬉しいです！ (2020年5月27日 22時) (レス) id: fb1d0da99a (このIDを非表示/違反報告)
蕾華(プロフ) - 毎回更新楽しませていただいております。もしかして、この孔雀とか狼ってSixTONESだったりします？ (2020年5月27日 22時) (レス) id: 169f18cdbf (このIDを非表示/違反報告)
椿と猫(プロフ) - 翠恋さん» いえいえ！これからも頑張ってください！応援してます！ (2020年5月23日 13時) (レス) id: 5dcbe78cc5 (このIDを非表示/違反報告)
翠恋(プロフ) - 椿と猫さん» 椿と猫さま、初めまして！ご指摘ありがとうございます！訂正させて頂きました！ (2020年5月23日 13時) (レス) id: fb1d0da99a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠恋
| 作成日時：2020年5月16日 22時
