どんなあなたも。《 Yb × Hk 》 (ページ45)

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Yb side

だから、見ているだけで良かった。

なんでかわかんないけど、その子はサッカー部を見にフェンスの向こうにいることが多かったし、本も好きなのか図書室にもよく来た。今までただの点数稼ぎでやっていた図書委員の仕事も、この時ばかりはやっていて良かった、と思った。

そしてなぜか、その子の友だちの方は俺の方にちょくちょく声を掛けてきた。そいつは伊野尾慧といい、誰にでもフランクなのだろう、いろいろ質問されているうちにそこそこ仲良くなった。けど、俺はあの子のことは何も知らない。

知っているのは、名前と、学年だけ。

卒業式の時にもう会えないと思ったけど、なにも行動することが出来ず、そのまま俺の恋は消えていくと思っていた。それなのに。

『__________......あれっ...』

大学で見つけた、あの時と同じ綺麗な横顔。

まさか、同じ大学に来てくれるなんて思わなかった。

そして、前と変わったことがひとつ。

伊野尾が俺に声を掛けに来る時、その後ろに隠れるようにちょこん、と、その子はついてくるようになった。

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