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「......八乙女？お前はなぜこの会社に来たんだ？」
今朝のあれはやっぱり幻だったんだろうか...
そう思えるくらい、今目の前にいるやぶ先輩は、般若のような顔をしている...
いや、怒られて当然のことしちゃった訳なんだけど...
朝一番にあんな嬉しいことがあった俺は、いつも以上に仕事へのやる気が出ていた。
やる気だけならまだしも、多少浮かれていた部分ももちろんあった。だけど、それは社会人としての自覚がなかったのと同じで。
「......なんで中身を確認せず、シュレッダーにかけるんだ！！」
「ほんっっっとに、申し訳ございませんでした...」
目の前にかざされたのは、半分だけ残っている契約書。
これは、取り返しのつかないミス...もう恐ろしすぎて顔が上げられない。
要らない用紙をシュレッダーしてきて、といろいろな先輩たちに頼まれていたので、俺は気を利かせやぶ先輩にも「なにかありますか？」と尋ねたのだ。
その時やぶ先輩が「じゃあこれ、いい？」といくつか束の用紙と封筒を渡された。俺は意気揚々とシュレッダーに掛けている時に、その封筒もシュレッダーに差し込んだ。はずだった。
その時、横からやぶ先輩が。
『ここに置いてあった封筒、誰か知らないですか？』
『えっ？』
『え？......あ...あー！！！』
俺がシュレッダーに掛けようとした書類たちの下敷きになっていた封筒は『処分』と書かれていて。
今同じ形で同じ色の封筒がシュレッダーにかけられていて......やぶ先輩の大絶叫がオフィス内に響き渡った、という訳だ。
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作者名：時雨
| 作成日時：2020年4月9日 19時
