オオカミ男と偽りのシンデレラ。second【青】 (ページ9)

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「いいなぁ、やぶ先輩が家庭教師だなんて」

「ほんっとに教えるの上手で、すごいなぁって」

「こんなに尽くしてもらってまだ足りないというのか」

「......すずちゃん？何言ってんの？」

最後の言葉が引っかかった私が問いかけると、すずちゃんは耳元で「だってさ」と囁く。

周りから見れば愛されてる、とよく言われるのは確かだけど。

「まだ気になってんでしょ？伊野尾先輩のこと」

「......っ、べ、べつに、気になってるとか...そんなんじゃ、ないし」

「じゃあなんで伊野尾先輩と連絡取ってんの？」

「えっ......？なんで、すずちゃんそのこと...」

「私が気が付かないかと思った？」

得気にふふん、と胸を張るすずちゃん。

よくよく話を聞いたら、どうやら伊野尾先輩がすずちゃんにだけは教えたらしい。私とやぶ先輩の関係の邪魔にやっていないか心配している、とのこと。

邪魔だなんて、とんでもない。

「言い方悪くなっちゃうけど......息抜きになるの。伊野尾先輩と話してると」

「早く答え出さないと、取り返しつかなくなるよ？」

「うっ......わ、分かってる、けどさぁ」

「まぁどっちになるにしても、私はAの味方だし、応援してるから！」

「......ありがと、すずちゃん」

そう言って笑ってくれるすずちゃんを見て、本当にいい友達を持ったなって思った。

とりあえず今は、定期テストを乗り越えなくちゃ。

そう思って、後回しにしてたのがいけなかったのかな。

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