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風が吹き抜けて、髪をさらう。

私の髪も、あの人の髪も。








そっと重なった影は、静かに離れてまた背中合わせ。







風の音と、自分の鼓動の音だけが響く。









『__________......シンデレラ、だからじゃないよ』




『えっ......?』








小さな声で呟いたから、聞こえなかった。けど、彼は今度ははっきりと教えてくれた。







『シンデレラだからじゃないよ。Aちゃんだったから。Aちゃんには、幸せになってほしいと思ってるから......だから、つい』



『__________......いのお、せん、ぱい』



『だけど、これ以上は薮に怒られそうだからやめとこうかな』







飄々とした口調に変わったと思えば彼は突然立ち上がる。

そして、そのまま校舎の方へと歩いていこうとする。『待って』と腕を掴もうとしたら突然立ち止まるもんだからびっくりしてしまった。

可笑しそうに肩を揺らして笑いながら、彼は言う。






『なんかあったら光のこと頼ってよ。あいつ、意外とさみしがり屋だからさ』



『先輩、あのっ......』



『大丈夫。Aちゃんは、誰がなんと言おうと誰よりも素敵なシンデレラになれるから』









今日のこともぜんぶ、秘密だから








そう言って微笑んで歩いていく伊野尾先輩のことを、引き止めることなど出来なかった。

けど、確実に私の中で先輩の存在は大きくなってる。


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翠恋(プロフ) - おかもとケイとるさん» ありがとうございます!がんばります!!! (2018年4月14日 20時) (レス) id: 232e0efe2c (このIDを非表示/違反報告)
おかもとケイとる(プロフ) - 更新楽しみにしてます (2018年4月14日 18時) (レス) id: 1490ed1241 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翠恋 | 作成日時:2017年12月9日 22時

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