さよならとキスと涙と。《 ym × kt 》

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25日。クリスマス。



俺は約束の時間より15分も早く着いてしまったというのに、待ち合わせ場所にはすでに裕翔がいた。

ライトグレーのロングコートをサラリと着こなして時計台に寄りかかる姿は、まるでモデルが撮影をしているかのように絵になる光景だった。

そんな裕翔の元へ、小走りで駆け寄る。






「.........ごめんね、お待たせっ」



「いーえ！今来たところだから大丈夫だよ！」



「ありがと......あのね、裕翔」



「とりあえず、寒いからどっか入ろっか？」






そう言われて歩き出す裕翔。きっと、俺の様子から決意を悟ったんだろう。

ごめんね、裕翔。

でもね、やっぱり今はちゃんと伝えたいの。






「裕翔、これ。クリスマスプレゼント」



「.........え？」



「......今までの、お礼。1ヶ月って短かったけど、俺、裕翔の恋人でいれて楽しかったよ」






綺麗な水色のリボンでラッピングされた箱を手渡した俺に、裕翔はふっと優しく微笑む。

受け取った彼は「開けていい？」と小さく聞くから頷くと、ゆっくりとその包みを開けた。中からは、あなたに似合うと思ったシンプルなマフラーで。

裕翔はそれを、ぎゅっと胸に抱きしめた。






「.........ったく、涼介にはかなわねぇなぁ」



「そんなことないよ？圭人にはもったいないくらい、裕翔は素敵な人だったよ」




嘘はひとつもない、どれも本当の言葉。

だからこそ、圭人みたいな中途半端がいつまでも甘えてちゃいけないんだって思ったの。






これで本当に、元通り。


心残りなんてなくなったって、思ってた。



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