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慌てて左手も取る。
目で探すのももどかしい。金属の感触を求めて指をなぞり、掌で探って、
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・
でも、やっぱり指輪は…なかった。
・
頭の中が真っ白になる。
あの時、白い部屋で揃えた指輪。
目印になるように、全員無事で帰れるように。
俺達を繋ぐはずの指輪が、ない。
いつの間にか握り締めていた圭人の両手が、ボロリ、と重力に任せて俺の手から落ちた。
・
圭人「…ありがと、裕翔…」
ドキッ、と心臓が刻む。
途切れ途切れで、蚊が飛ぶより小さくて、震えていたけど、確かに圭人は一言、唇を震わせた。
真剣に見つめていた瞳は、微笑みを浮かべていた。
俺は戸惑った。感謝されるようなことをした覚えはない。ついさっき、ここに来たんだから。
この世界で生きてきた俺は、圭人に一体何をしたんだろう。この状況、圭人の黒い翼。少なくとも良い事を吹き込んだとは思えない。
案の定、圭人の口から溢れた言葉はなかなか物騒なものだった。
圭人「翼……」
裕翔「えっ」
圭人「山ちゃんの、翼で…いのちゃんを、救える、なら…
俺、山ちゃんの翼…奪いに行くよ…」
…まるで意味が分からない。
翼を奪う？この世界じゃ、ヤマにも黒い翼があるの？それでいのちゃんを救えるって…？そもそも、いのちゃんはどこにいるんだよ？今どこで、何を…。
その時。
突然、人差し指の付け根が焼けた。
裕翔「熱っ…！」
思考のループから引き戻された途端、脳裏を鮮やかな映像が流れていく。
・
真っ赤な翼。それを羽ばたかせて何かと戦ってる人が見える。
あの横顔は……ヤマだ。
次の瞬間、いくつもの黒い影が、ヤマを掴んで押さえた。抵抗してる。助けなきゃ…と思っても身体は金縛りのように動かない。
無惨にも、翼は引き抜かれてしまった。赤い羽が噴き出す中、翼を取られたヤマは…
・
・
…あまりにも生々しい最期を映し、映像が途切れた。
・
裕翔「…やめて」
指輪が伝えた映像が事実ならば。
裕翔「翼を奪うなんて、間違ってる」
圭人「…何を言ってるの？」
裕翔「そんなことしたって誰も救われないんだよ！」
思わず圭人の肩を掴んだ。
部屋中に黒い羽が舞い上がった。目の前の黒い翼は相変わらず垂れていたから、圭人の羽じゃない。
皮肉にも、黒から水色に生え変わったのは『俺の』翼だった。
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ユキ(プロフ) - ききさん» 前回に引き続き、ありがとうございます！励みになります(^-^)/ (2018年1月28日 18時) (
レス) id: a8713bcbc6 (このIDを非表示/違反報告)
きき - 移行おめでとうございます！憑いてる！？シリーズからずっっっっとユキさんの作品を読んでますが相変わらず面白いですね(*^▽^*)これからも楽しみですヽ(*´∀｀) (2018年1月26日 21時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユキ | 作成日時：2018年1月23日 0時
