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衝撃の主は、バリアの中に入るとホッとしたのか、震える笑いを含ませて叫んだ。
雄也「あっぶねー!」
光「雄也!おかえり!」
雄也「ただいま。」
飛び込んできた雄也の腕の中で、ボロボロながら辛うじて翼を保った、傷だらけの大ちゃんが眠っていた。
涼介「大ちゃんは、」
雄也「大丈夫、息はある。崖下の洞窟に…」
その時だった。
雄也の声をかき消す凄まじい破裂音と共に、赤いバリアは粉々に砕けた。
涼介「クソっ…!!」
光「もう一回バリア張るっ…!」
針が飛んで来る方向へ手をかざしたヒカが、ふと動きを止めた。
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宏太「…光?」
光「……止まった」
ヒカが見上げた先。
皆でその視線の先を追うと、苦しげに暴れまわっていたはずの伊野尾ちゃんが、立てられた操り人形みたいに宙に浮かんでいた。
青く燃えていた目は、少し空を泳いだ後、ゆっくり閉じていき、
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力なく崩れ落ちた。
涼介「危なっ…」
気を失った状態であの高さから落ちたらひとたまりもない。咄嗟に走り出そうとした。
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…けど、伊野尾ちゃんが地面に落ちることはなかった。
スルリ、と脱力した身体の後ろに現れた、肘を構えるもうひとつの影。
絶妙なタイミングで伊野尾ちゃんの身体を掬い上げると、美しい翼をはためかせ、
そっと、地面に降り立った。
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「ごめん、遅くなった!」
伊野尾ちゃんを抱き抱えたまま、何事もなかったかのように、ゆーてぃーは申し訳なさそうな声色で苦笑いした。
光「…裕翔ー!」
安心したのか、嬉しそうなのか泣きそうなのか分からない声を上げたヒカに、雄也も「おせーよ!でもすげーな裕翔!」なんて言って、笑ってる。
ずっと青ざめたままだった圭人も、ホッとしたのか、弱々しく息を吐いた。
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ユキ(プロフ) - ききさん» 前回に引き続き、ありがとうございます!励みになります(^-^)/ (2018年1月28日 18時) (レス) id: a8713bcbc6 (このIDを非表示/違反報告)
きき - 移行おめでとうございます!憑いてる!?シリーズからずっっっっとユキさんの作品を読んでますが相変わらず面白いですね(*^▽^*)これからも楽しみですヽ(*´∀`) (2018年1月26日 21時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキ | 作成日時:2018年1月23日 0時