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interlude ページ22













「……んっ」


やっと、浅い眠りから覚めた。

何度見ても嫌な夢だ。







霞む目で、ぼんやり見上げた白い天井。
今や、傍らに転がったこの小瓶の液体以外、すべての色彩が失われていた。






部屋の隅で、レンズをこっちに向けているカメラは、小さなランプを点していた。

「…聞こえてるんでしょ」

起き上がる気力もわかなくて、独り言みたいな掠れた声を投げたけど、返事は返ってこない。







ベラベラとよくしゃべっていた彼女は、黒い印を見つけて以来、ほとんど話しかけてこなくなった。


でも、かえってありがたい。

宏太が記憶の抜けに気付いたあの時、僕はひとつの可能性に行き着いた。

黒い模様が広がるのは、決まってパラレルワールドに飛ばされた組の方だった。もしかしたら、向こうにいる意識がこっちでの記憶を手放すと、肉体が死ぬのではないか、と。

そして、カメラのランプが消える時。それはおそらく、僕たちの監視を中断している時だろう。


つまり…







結論をまとめようとした瞬間、ふと目に入った光景に僕は息を飲んだ。

小瓶の中身を嘗めて、力をその細い身体につぎ込んだのはついさっきだと自覚していた。

その身体が、白い肌が


すでに、黒い模様で埋め尽くされている。


「いのちゃん…どうして!」

思わず身体を起こすと、ぐらりと頭の中が傾いてよろけた。それも構わず側に這い寄った。

僕は、そんなに長く眠っていたのか。

しかし、同じように力を注いだ3人は、まだうっすらと印を浮かべるにとどまっている。


いのちゃんの手を取り、ハッとした。
左手の中指にあったはずの指輪は、見るも無惨に黒く煤け、

ボロリ、

と、崩れてしまった。







向こうの世界で、何かあったんだ。心臓がドクンと跳ねた。

「お願い、止まって…」

手をぎゅっと握る。なのに、真っ黒に刻まれた模様はなかなか薄まってくれない。力が弱まってる。もう一口、魔力を飲まなくちゃ…


中身の少なくなった小瓶に手を伸ばした、その時だった。







…コツン。

カメラのランプが、音とともに消えた。







僕にとって、それは残された僅かな希望だった。


…今しかない。

瓶を掴み取り、鮮やかなピンク色の中身を躊躇いなく飲み干した。

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ユキ(プロフ) - ききさん» 前回に引き続き、ありがとうございます!励みになります(^-^)/ (2018年1月28日 18時) (レス) id: a8713bcbc6 (このIDを非表示/違反報告)
きき - 移行おめでとうございます!憑いてる!?シリーズからずっっっっとユキさんの作品を読んでますが相変わらず面白いですね(*^▽^*)これからも楽しみですヽ(*´∀`) (2018年1月26日 21時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユキ | 作成日時:2018年1月23日 0時

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