１３ ページ14
・
大貴side
・
大貴「…んっ」
おでこに落ちた滴が冷たくて、俺は反射的に目を覚ました。
大貴「あ……、？ここは…っ」
身体を起こそうとした途端、身体中に痛みが走って、再び寝転がる羽目になる。
無音が耳を塞ぐ。薄暗くてじめじめした空間。遠くに微かに聞こえる、雨の降りしきる音。
ここは、洞窟らしい。
背中に視線を移すと、かろうじて翼は残ってた。でもすでにボロボロで、満足に羽ばたけないのも明らかだった。
そっか。俺……
・
突然、眩しいくらいの光が走り、轟音が響いた。
雷だろうか。あの雨ならおかしくはない。
大貴「……！」
心臓がバクバク鳴り響く。
雷だけのせいじゃない。洞窟の入口近くで、何か…生き物の影が照らされたような気がして。
・
やっとのことでうつ伏せになって、これ以上身体を痛めないよう慎重に這って進む。力のない羽が、ぐったりと背中にのしかかって重い。
・
それは、動物でもカラスでもなかった。
近付いても、横たわるシルエットはピクリとも動かない。
呼んでも返事は返ってこなかったが、青白く見えたその顔は、よく見慣れてるから
間違えるわけがない。
大貴「…いのちゃん……！？」
名前を呼ぶだけでズキズキ痛む身体に、苛立ちを覚える。いや、そんなことより、どうしていのちゃんが…？まさか、生きてる…よな？
確信がほしくて、手を伸ばした時。
掌に触れた感覚に、ドクリ、と再び心臓が鳴る。
・
……そんなはず、ない。
・
恐る恐る掌を浮かせて、下の隙間に目を遣る。
・
艶やかな濃色の羽根。
翼は、その細い背中を突き破るように、深く、青く伸びていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユキ(プロフ) - ききさん» 前回に引き続き、ありがとうございます！励みになります(^-^)/ (2018年1月28日 18時) (
レス) id: a8713bcbc6 (このIDを非表示/違反報告)
きき - 移行おめでとうございます！憑いてる！？シリーズからずっっっっとユキさんの作品を読んでますが相変わらず面白いですね(*^▽^*)これからも楽しみですヽ(*´∀｀) (2018年1月26日 21時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユキ | 作成日時：2018年1月23日 0時
