magical.33 Town 涼介side ページ34
涼介side
また何か撮るのか、裕翔がカメラのレンズを覗いた。
中島「えっ？」
山田「どうかした？」
俺が聞いたのと、小さな足音が近づいたのは、ほぼ同時だった。
その女の子は裕翔の動きを視界に捉え、
ギラリと光る、なにかを、取り出した。
警戒する暇はなかった。
中島「ぁ…ッ！？」
タピオカの黒い粒が地面に散らばる。
彼の手から離れたクレープは、ぐしゃりと音を立てた。
女の子は、ナイフを勢いよく引き抜いた。
あたりに広がる、緋、緋、緋。
.
山田「…え、」
女の子は駆け出すと、人混みに紛れてしまった。
あっけにとられていたが、ハッとして崩れ落ちた彼の肩を叩く。
中島「…か、は、…やま、」
山田「ゆうてぃ！血が…」
裕翔の腹から、大量に流れる血。
彼は苦しそうに息をしている。
・・・今、一体、なにが起こったんだ？？？
突然のことに、体が動かなくなる。
中島「……や、ま……聞、て、…」
裕翔が、俺の服を弱々しく掴んだ。
山田「なに…」
中島「ッ、かめら……み、えた……あの子、は、ーーー…」
山田「……ッ裕翔！裕翔、しっかりしろ裕翔！！…くそっ、」
血を流し続ける腹を着ていた上着で圧迫し、止血を試みる。
裕翔は目を覚まさない。
周囲の人々が殺人だ、通り魔だ、と騒ぎ始めた。
山田「チッ、」
俺は一瞬でロックを解除し、強い光で周囲の目をくらます。
そして、屋敷に瞬間移動した。
山田「…うぐっ、ゲホゴホッ！」
口を押さえた手の隙間から、赤い液体が零れ落ちた。
人間界の街から、魔法界の端まで。
とてつもなく長い距離の移動が、俺の体を蝕んでいた。
屋敷には、誰もいなかった。
動かない体を軋ませながらも、知識の通りに応急処置をしていく。
なんとか処置を終えて、裕翔を横たえたベッドの傍にへたり込んだ。
山田「ぇぐっ、はぁ、はぁ……」
横を見れば、青白い裕翔の顔。
テレパシーで知念を呼んで、治してもらわないといけない。
・・・けど。
彼の言葉を思い出す。
.
山田「あの子は……魔物、だって？」
.
裕翔が苦しみながらも伝えようとしたメッセージ。
この、よくわからない事件の、唯一の鍵。
光くんと圭人に、伝えなければ。
山田「ッーーー」
そして、音が消えた。
magical.34 Sea 侑李side→←magical.32 Sea 宏太side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 385人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
LOVE米(プロフ) - やまびこさん» メッセージありがとうございます！！とても嬉しいです。頑張ります(*^^*) (2019年1月16日 20時) (
レス) id: a6c899cc1c (このIDを非表示/違反報告)
やまびこ(プロフ) - 魔法系も大好きなので本当に楽しく読ませていただいてます。更新されるのを楽しみにしているので、無理せず頑張ってください！ (2019年1月16日 18時) (レス) id: e5bd4b82b6 (このIDを非表示/違反報告)
やまびこ(プロフ) - はじめましてこんにちは！更新停止してる間に読んで好きになって、いつか再開してくれたらなぁ…なんて思っていると、どんどん面白いお話が更新されていてとても嬉しいです！私は伊野尾くんが好きですが、バランスよくメンバーが出ているのも面白いと思います！ (2019年1月16日 18時) (レス) id: e5bd4b82b6 (このIDを非表示/違反報告)
LOVE米(プロフ) - ちなみに、すでに結末まで構想してありますので今度こそ最後まで描き切りたいと思っています！ (2019年1月3日 17時) (レス) id: a6c899cc1c (このIDを非表示/違反報告)
LOVE米(プロフ) - 更新が非常に遅くなって本当に申し訳ありません。これからはちょくちょく更新していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。 (2019年1月3日 17時) (レス) id: a6c899cc1c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LOVE米 | 作成日時：2014年12月27日 19時
