ハニープードル【青】 (ページ23)

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日曜の朝。緊張で昨日あんまり眠れなかったなんて口が裂けても言えない。

待ち合わせより10分程早く着いたのに、藤井くんはもういて。

遠くから見てもかっこいいし、通りすがる女の子達にキャーキャー言われてる

よし、と気合を入れて声をかけた

『ごめん、待った？』

いつも通り、いつも通り。

私服姿の藤井くんがかっこいいからって浮かれるな、私

「全然。……なんか今日のAさんいつもと違う」

そりゃあそうよ。わざわざ調達した服に、普段まとめる髪を下ろして巻いたんだから。

これでいつもと一緒なんて言われたらショックでたまらない

『……変？』

「可愛すぎてあかん」

『もう、またそんなこと言って。からかわないで』

素直にありがとうって言えないところが私って可愛くない

「ホンマのことやん。かわええ、マジで。」

って眩しすぎる笑顔を向けてきて。

『……藤井くんも、かっこいいよ』

言ったあとで後悔する

なんだか付き合いたての高校生みたいで、恥ずかしくてこそばゆい。

ダメだ、やっぱり私、今日浮かれてる

「そりゃAさんとデートなんやから、かっこよくしてこなあかんやろ？」

って、余裕そうな藤井くん。私ばっかり恥ずかしくて悔しい。

まあ、藤井くんみたいな人はかっこいいなんて言われ慣れてるから仕方ないか

「じゃ、行こか」

映画館までの道、藤井くんは私に歩幅を合わせて歩いてくれて意外と紳士なんだなって

また、藤井くんを好きになった