ハニープードル【青】 (ページ14)

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紫「あっ、Aちゃん、この間はありがとうな」

『濵田さん。こちらこそ、すみませんご馳走していただいて』

紫「可愛い後輩やからな～、当たり前やん！」

『そう言ってもらえて嬉しいです』

紫「また近いうちに飲もうや、宅飲みで鍋なんかええなあ」

これは、脈があるのだろうか

『楽しそうです、是非』

紫「ほな、また連絡するな」

さりげなく私の頭を撫でて、濵田さんは去っていった

このままうまく行けば、濵田さんと付き合って、結婚……なんて可能性はあるのかな

わからない、濵田の気持ちが。

濵田さんと安定したい

だけど、藤井くんが気になる気持ちもやっぱりあって。

平和で平凡な恋愛しかして来なかった私にはもうわからない

濵田さんの背中が見えなくなって部署に戻ろうとした時

思いっきり腕を引かれてすぐそばにあった資料室に閉じ込められる

こんなことをするのは、彼しかいない

『…なに、藤井くん』

「なあ、濵田さんが好きなん？」

少し前に流行った壁ドンってやつ？

目の前に藤井くんの綺麗な顔。ドキドキしないわけが無い

『なんなの急に、とりあえず退けて…』

「ええから答えてや」

『……別に好きじゃないよ』

藤井くんをなんとか押し返した

「やっぱAさんは濵田さんみたいな大人の男がええの？」

そんな子犬みたいな目で見つめてこないで

『別にそういう訳じゃ…ていうか、私おばさんだよ？よく考えなよ、藤井くんにはもっと、』

「ええやん、別に。年の差がどうとかこうとか。

俺がAさんを選んでるんやから。」

『……馬鹿じゃないの』

これは流石に平然を装うのは無理

赤く染まった顔なんて見せられなくて、俯く

「Aさんは誰よりかわええよ、」

藤井くんの長い指が髪の毛を撫でる

このままじゃ、本当に藤井くんに落ちてしまいそうで

嬉しい気持ちとは裏腹、私は藤井くんを押し退けて走って資料室を後にした