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何とか笑って中間さんと別れた後、
《終わった。いろんな意味で》
それだけ神山さんにメッセージを送って電車に乗りこんだ
そりゃ、好きな人くらい、いてもおかしくないし
……神山さんの所、行こうかな、いや、迷惑かけるだけだし
今は誰かに泣いてもいいよ、って、頑張った、って言って欲しくて
その言葉をくれるのは、神山さんだけだ
必死に涙を堪えて、あの美容院の最寄りで降りた
……降りてしまった。やっぱり、会いづらいかも
かっこ悪い姿見せるの嫌だし、メッセージも返ってこない
とりあえず駅を出て歩いてると
『………、』
神山さんがいた。
ダメだ、神山さんの顔見ると、泣いてしまいそう
俯いて知らないふりをして通り過ぎようとすると、神山さんが壁に足をついて道を塞いだ
「恩人を無視するつもりか」
『……急ぐので』
神山さんを避けて通り過ぎると、今度は腕を掴まれる
「どこ行くん?俺に会いに来たんちゃうん?」
図星だ。もう、泣きたい。というか、泣いてる。
ぽたぽたと落ちる涙に、神山さんは何も聞かない
『……ダメみたいです、中間さん、好きな人……』
そう話すと神山さんは私の頬を両手だ包んで
「思っきし泣け!カラカラになるくらい泣け!」
神山さんは、私が欲しかった言葉の倍をくれた
『でもっ、せっかくの、メイクがっ……』
「そんなんいつでもやったるやん。やから、なんも我慢すんな、」
ぷつん、ってなにかの糸が切れたように涙が溢れて止まらなくなった
道端で子供みたいに大泣きする私に引きもせず、神山さんは優しく抱き締めてくれた
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作者名:ユウガオ | 作成日時:2018年7月9日 17時