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「おい、これ、3番テーブルな」
『はいっ』
小言われた通り、トレーに乗せられたパスタを3番テーブルに運ぶ
『お待たせ致しました、タラコパスタになります』
すっかり軽くなったトレーを抱えて厨房に戻ったら、
「おい」
今日も始まる、小瀧先輩の説教タイム
「とろいねんて、お前。」
『すみません…』
「忙しいんやからさっさ動いてもらわな困る」
『はい…』
私そんなにダメかな？
そう思いながら小瀧さんから離れようとすると
「まだ終わってへん。」
『う、』
服をぐいっと引っ張られて
「昨日トイレ掃除、お前やったやろ」
『はい…』
「トイレットペーパー切れてんのになんで補充せえへんのや。アホか」
『えっ、すみません、』
「次はないで」
『…はい』
後輩「あの、小瀧先輩、今いいですか？」
「ん？どした？」
最近入った後輩の子が小瀧先輩に声掛けてくると、私のことをポンと突き放してその子に笑顔を見せる
『なにあの笑顔…』
私には絶対あんな顔しないくせに…ムカつく！差別だ！
しばらく先輩と後輩を見つめてると、先輩と目が合って
(アホ)
先輩の口がそう動く。
うー、ムカつく！
ふん、と先輩を無視して仕事に戻る
入った頃は、先輩は私にも優しかったのに
2週間ほど経つと少しずつ本性を現してきて、今ではこんな感じで、完全に鬼。
おい、お前、呼びが当たり前。
それも、本当に私にだけ。
オシャレなカフェということもあって、職場の人はだいたい女性。
私以外の女の人にはものすごく優しい。
「レディーファーストですから」
なんて爽やかな笑顔で言いながら休憩に先に入らせたりする。
だけど、私の場合
「なに甘えてんねん、そんな顔しても手伝わへんで」
って、冷たい視線。
どうしてこんなに嫌われてるんだろう？なにかしたっけ？
「おい、さっきから何突っ立っとんや」
『ひっ、』
「お前、ひっ、ってなんや、人をバケモンみたいに」
私にとってはバケモノよりもはるかに怖い存在
「今日上がってもすぐ帰んな」
『え？』
「事務所で待っとけ。ええな」
『は、はい…』
もしかしてクビ？なんて思ったけど大学生の先輩にそんな権力はあるはずない。
ああ、怖い怖い、考えるのやめよう
頭を横に振って仕事に集中した
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作者名：ユウガオ | 作成日時：2018年4月15日 18時
