学園のわけありアイドルたちの日常 (ページ13)

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ゲートについているリーダーに生徒証を翳すと、一拍置いてゲートがあがった。

すごい。なんの変哲もなさそうなカードなのに。

一歩足を踏み入れると、そこはまるで異空間。

グラウンドから聞こえてくる喧騒も耳に入らない。

ここだけ時の流れが違うような、そんな錯覚を覚える。

「あっ………！」

ここが図書室だということも忘れ、思わず走って本棚に近づいた。

「この本………」

重版少なくて入手困難って言われてた本…！

こっちに至っては廃盤になってるやつじゃん…！

え、読めるの…？入学したら図書室入り浸らないと…。

なんて誓いを立て、取り敢えずその二冊を持って席に着く。

施設散策は…また次の機会に、ということで。

だって本に勝るものはないからね。

わくわくしながらページを捲った。

本は好き。自分が自分じゃないみたいな感覚になれるから。

登場人物になりきって、第二の人生を歩んでいるような気分になれる。

嫌なこと、辛いことがあっても、本を読んでいる間はそんなことも忘れて物語に夢中になれる。

そんなの現実逃避だ、って笑う人もいるけど、私にとって大切な気晴らし。

時間が経つのも忘れてしまうほど、楽しいこと。